#世界史
青銅という金属器は人類史に革命をもたらします。銅の融点1085度、錫の融点232度に対し、混合することで凝固点降下が起こり錫を30%混ぜると融点が700度まで低下します。青銅は銅よりも硬度が硬く加工しやすく、展延性に優れていました。銅プレートの鎧は石…
マルクス主義考古学者ゴードン・チャイルドによる文明の定義では ・効果的な食糧生産 ・大きな人口 ・職業と階級の文化 ・都市 ・冶金術 ・文字 ・記念碑的な公共建築物 などをあげていますが、私は冶金術が無くとも他があれば十分文明と言えると思います。…
最近『戦略の歴史』(ジョン・キーガン著 中公文庫)を読んでいます。ただこれ邦題が間違いで、『戦いと人類の歴史』とでもした方がふさわしいような気がします。イギリスの軍事史家だけあって欧州に関する考察は流石だと思いますが、東洋に関しては細かいリ…
これ不思議書庫じゃなくてゲームの話なんですが、まあいいか(笑)。 実はつい先日までトゥームレイダーシリーズ最新作『ライズオブザトゥ―ムレイダーPS4完全版』を遊んでいたんです。トゥ―ムレイダーと言えば若き女性冒険家ララ・クロフトを主人公にした冒…
どんな王朝でもいつかは衰退期に入り滅亡するのは世界史の流れです。サファヴィー朝も例外ではありませんでした。英主シャー・アッバース1世の死後凡庸な君主が続きます。宮廷は権臣たちの権力闘争の場となり、官僚制度は腐敗しました。16世紀ごろから西欧の…
シャー・アッバース1世(1571年~1629年)は王子時代1572年、わずか1歳で祖父タフマースブ1世からホラサン総督に任命されます。これは父ムハンマド・ホダーバンデが現地のキジルバシと対立し収拾がつかなくなったための後任人事でした。もちろん1歳の幼児で…
1524年、偉大な父シャー・イスマイール1世の後を受け即位したタフマースブ1世(在位1524年~1576年)ですが、この時わずか10歳の少年でした。サファヴィー朝軍事力の中核、サファヴィー教徒のトルコ系遊牧民から成るキジルバシはイスマイール1世のカリスマで…
シャー・イスマイール1世がイラン高原を征服していた頃、西隣のアナトリア西部、バルカン地域ではオスマン朝が空前の大発展期に入っていました。オスマン朝に関しては、次回長編シリーズを予定しているのでここでは簡単に書きますが、1453年コンスタンティノ…
スーフィーとは、イスラム教の絶対神アッラーと我執を滅却しての合一することをめざし清貧行を主として様々な修行に励む人々を指します。スーフィズムはイスラム教神秘主義運動で9世紀ごろに生まれました。 イスラム教神秘主義運動スーフィズムの一つ、サフ…
最近、世界史書庫では延々と遊牧民族話を書いていますが、これはイスラム世界最後の世界帝国オスマン朝の歴史を描くための前準備だとお思いください。その前にイランの歴史で書き残したサファヴィー朝、アフシャール朝を紹介します。すでにササン朝までとカ…
黒羊朝の版図 白羊朝の版図 トルクメン人は現在トルクメニスタンを中心にアフガニスタンからイラン、北はロシア南部に住む人口900万人(そのうちトルクメニスタンに430万人)の民族です。かつては中央アジアで活躍した遊牧民でした。トルクメンの語源…
最近、モンゴルというか遊牧民族話が続きますがこれも関連記事かな? 飛将軍李広、史記や漢書など漢籍に明るい人か支那の歴史ファンの方ならご存知だと思いますが、最近は高校の漢文くらいでしか紹介されないので一般の方はご存じないでしょう。李広は、前漢…
私は一つの事に興味を持つとその関連情報をとことん突き詰めてしまう癖がありまして、モンゴル帝国の首都カラコルムを調べるうちにモンゴル高原の地形そのものに興味が移りました。 さて、モンゴル高原にはアルタイ山脈とハンガイ山脈という二大山脈がありま…
実はこの前ウイグル帝国の首都オルド・バリク(カラ・バルガスン遺跡)を調べていた時、モンゴル帝国の首都カラコルムもこの近くだなと思いだし調べてみました。すると驚くべき事に、同じオルホン河畔でオルド・バリクから上流(南)に20kmくらい遡ったご…
歴史には時々どうしようもない悪人というのが出てきます。ただ悪人でなければ成し得ない事業があるのも事実。このミカエル8世パライオロゴス(1225年~1282年)は十字軍に奪われていたビザンツ帝国の帝都コンスタンティノープルを奪回し、ビザンツ帝国を再興…
ビザンツ帝国(東ローマ帝国)皇帝アレクシオス1世コムネノス(1048年~1118年)。往年のゲームファンなら懐かしの歴史シミュレーションゲーム、光栄『蒼き狼と白き牝鹿ジンギスカン』に出てくる同名の皇帝を思い浮かべるでしょう。実はゲームに出てくるのは…
大セルジューク朝第8代スルタン、アフマド・サンジャル(1086年~1157年)。記憶力の良い方なら西遼(カラ・キタイ)を建国した耶律大石と1141年カトワン平原で戦ったスルタンとして覚えておられるでしょう。彼こそ分裂する前の最後のセルジューク朝スルタン…
イラン、ホラサン地方ニーシャプールの高名な大学者イマーム・ムワッハックのもとで学ぶ三人の有能な若者がいました。彼らは「三人のうち誰かが出世し財を築いたら残りの二人を助けよう」と誓い合います。最初に出世したのはニザーム・アル・ムルクでした。…
西アジア中世史シリーズ、なかなか人物まで行きませんが今回も地理の話。だいぶ前、アラル海が消滅の危機にあるという記事を書いたと思います。アラル海はかつて日本の東北地方の面積とほぼ等しい世界第4位の広さを持つ湖でした。アムダリヤ(アム河、ダリヤ…
忘れたころにやってくる「世界の都市の歴史」シリーズ。今回はトルクメニスタンにあるメルブ遺跡の話です。最近の世界史記事の傾向から、私が中世西アジア史にはまっていることがお分かりでしょう。実は、マラズギルトの戦いの記事の後、ビザンツのアレクシ…
マラズギルトというのは現在のトルコ東部、ヴァン湖北方にある城塞都市です。1071年マラズギルトの郊外でビザンツ帝国とセルジュークトルコ帝国が激突しました。この戦いの結果、ビザンツ帝国はアナトリア半島(小アジア)の大半を失陥し、逆にトルコ族はア…
この記事は半年前くらいに書いた『ローマ帝国建国史』の外伝です。第1回三頭政治の巨頭カエサルとポンペイウスの最期は詳しく書いたものの、もう一人クラッススの最期に関してあまりにもあっさりしすぎていたと反省し今回書く事にしました。 マルクス・リキ…
最近世界史書庫は単発記事が続きますが、これは前回の『ポル=バジン遺跡』の続きです。 ポル=バジン遺跡が1200年前のウイグル帝国時代の遺跡で、ウイグルの首都カラ・バルガスンと構造が似ていると書きました。ではカラ・バルガスンがどこにあるか興味を覚…
ネットでなんとなく都市伝説とか世界の不思議とか検索してた時に偶然見つけたんですが、ロシアのモンゴル国境近くテレホリ湖という周囲20キロくらいの小さい湖に浮かぶ島に存在する遺跡です。グーグルマップでも見つけられるので興味のある方は探してみてく…
古代最大の地下建造物!?謎だらけの中国の龍游石窟古代最大の地下建造物!?謎だらけの中国の龍游石窟 本当に当時そのままの形か、発見した後人為的加工はしていないのかなど、ムーの歴史記事的な怪しさは一杯なんですが(苦笑)、一応この記事を真実と仮定…
最初はジュチ・ウルスの後継国家がどのように滅んだのかという疑問から始まり、次に滅ぼしたロシア軍の近衛銃兵隊ストレリツィを調べ、ではロシア軍の基本戦術は何だったかという事に興味が移りました。ところがロシア軍に関しては資料がなく全く分からず、…
マスケット銃というのは、銃身にライフリングが施されていない先込めの滑空式歩兵銃の事です。フリントロック式(燧発式)やホイールロック式など様々な点火機構があり、日本で爆発的に普及した火縄銃もマッチロック式マスケット銃です。 一番信頼性が高いの…
世界史で大モンゴル帝国が分裂し元朝、オゴタイ汗国、チャガタイ汗国、キプチャク汗国、イル汗国になったことは皆さんご存じだと思います。その中で支那の元朝は明の太祖朱元璋に滅ぼされ、イル汗国は分裂・解体しティムール朝に呑みこまれました。 オゴタイ…
蘇軾、雅号東坡。一般には蘇東坡(1037年~1101年)といえば北宋時代の政治家・詩人・書家として有名です。どのような人か知らずとも名前くらいは聞いた事があるでしょう。柳宗元、王安石らと共に唐宋八大家の一人として知られていますよね。 最近知ったんで…
オクタヴィアヌスは、アレクサンドリアに逃亡したアントニウスをあえて追いませんでした。部下に見限られエジプトで酒と女に溺れ自滅するだろうと見たのです。オクタヴィアヌスは、ギリシャに上陸しアテナイなどアントニウスに味方した諸都市の戦後処理をし…