鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

世界史

司馬懿の先祖と司馬遷の先祖

私(鳳山)の悪い癖は一つの記事を書くと関連項目を調べないと気が済まなくなることです。ですから熱中しているときの集中力は凄いんですが、熱しやすく冷めやすいのですぐ忘れます。支那史上の有名人の子孫、先祖を調べていくうちの関連話です。歴史に興味…

竇猗房(とういぼう)、数奇な運命の皇后

宮城谷昌光氏の短編小説に『花の歳月』という作品があります。私の中では『鳳凰の冠』と共に宮城谷作品では五本の指に入る傑作短編だと評価しています。宮城谷さんはどんな主人公でも爽やかに書きすぎる悪癖がありますが、この二作に関してはそれが成功して…

昌平君の数奇な運命

支那戦国時代、楚の滅亡関連話の一つです。 秦の始皇帝が天下統一するころ、秦の重臣に昌平君(紀元前271年~紀元前223年)という人がいました。昌平君は称号で本名は熊啓。熊という氏から分かる通り楚人でした。では楚人がどうして秦の重臣になれたのか疑問…

項氏と王氏の因縁

久しぶりの世界史記事、マニアックな話題なので興味ない方はスルー推奨です。 漢の高祖劉邦と天下を争った項羽。劉邦も項羽もともに戦国七雄の一つ楚国の出身で最初は協力して宿敵秦を滅ぼしました。楚人は祖国を滅ぼした秦に深い恨みを抱き「たとえ三戸(非…

リシャット構造はアトランティスか?

タイトルで超古代文明好きを騙し釣るというのも心苦しいので、最初に言っておきます。伝説のアトランティスとは全く関係ないと思います。ですからオカルト好きとか超古代文明ファンはスルーしてください。がっかりするだけですから。 ネットで見たんですが、…

プント国

プント国 世界史マニアック話が続きますが、これも紅海・インド洋交易関連話です。一般の方は全く興味ないと思うのでスルー推奨です。 世界地図やグーグルマップを見ていただくと分かる通り、エジプトは国土のほとんどを砂漠が占めます。ただ世界有数のナイ…

乳香の話

前記事で「砂漠のアトランティス」と呼ばれたアラビア半島、オマーン西部にあるオアシス都市遺跡ウバールを紹介しました。その際乳香が主要な交易品で、エジプトやシリア、メソポタミアに輸出し栄えていたと書きました。では乳香とはどんなものかと興味を覚…

砂漠のアトランティスは実在した?

ノーティドッグの傑作アクションゲームに『アンチャーテッド3 砂漠に眠るアトランティス』というものがあります。アラビア半島ルブアルハリ砂漠のどこかにあったとされる伝説のアトランティス文明を継承した古代都市の遺跡に隠された秘宝を巡って主人公ネイ…

古代支那の食事

私の悪い癖は、一つの事を調べるとその関連項目も調べなくては気が済まないというものです。前記事で淮河以南の華中と華南地方は稲作の一大産地を抱えているので古代から米を食べていたが、淮河以北では何を食べていたか謎だと書きました。一応小麦を粉にし…

漢代の貨幣と官僚の俸給

古代支那春秋戦国時代の貨幣と言えば、斉・燕・越などで使われた刀銭、楚で使われた蟻鼻銭、秦で使われた圜銭(かんせん)があります。圜銭とは円形の貨幣の中心に丸あるいは四角の穴をあけた貨幣でのちの支那王朝が鋳造した貨幣の基本形となりました。刀銭…

後漢、三国時代の地方行政

マニアックな記事が続いて申し訳ない。過去記事で後漢時代の各州の人口を書いたんですが、その際地方行政の仕組みに関し説明不足だったかなと思い改めて記すことにします。一応過去記事の肝である人口表を載せておきます。 ◇幽州(ゆうしゅう)…204万 ◇并州…

魏官制

非常にマニアックで申し訳ないんですが、せっかく作ったので記事にしました。まだまだ未完成なんですが、三国時代魏の官制です。 一番左の官品というのは日本でいうところの位階にあたり、一品がだいたい日本の正一位~従一位に当たります。ちなみにこの九品…

兀突骨(ごつとつこつ)と藤甲鎧

最近、YOUTUBEで亶夏王朝さんの三国志珍人物伝にハマっています。取り上げる人物がマニアックすぎるんですよ。劉備の養子劉封に関しても劉備の実子説、劉封の実家寇氏の光武帝後裔説、劉禅を奉じる荊州派と劉封を支持する益州派(そのリーダーは法正)で両派…

世界史上難攻不落の城 城塞都市カルカソンヌ

フランス南西部、ピレネー山脈の裾野、北端あたりにあります。大西洋と地中海を結ぶ街道上に位置し交通の要衝です。その歴史は古く紀元前6世紀以降のガリア人に起源があるとも言われています。その後ローマの支配下に入り城塞都市として整備されました。要衝…

世界史上難攻不落の城 カーリンジャル城

この城も前記事で出てきたシェール・シャー所縁の城です。と言ってもシェール・シャーが築いたわけではなく彼がこの城を攻める最中、砲弾の爆発事故で不慮の最期を遂げています。 敵はラージプート族。インド北西部ラージャスタン州を中心にインド北部、主に…

世界史上難攻不落の城 ロータス・フォート

忘れたころにやって来る難攻不落シリーズ。一時中断したのは私の知識が欧州、中東、極東に偏っていて中央アジアやインドの難攻不落の城に自信がなかったからです。中央アジアの主要都市(当然周囲を城壁に囲まれた城塞都市)は、一見難攻不落に見えてもモン…

ローマ軍の野営地『カストラ』

これまで何回か書いたと思いますが、共和政期、帝政期と通じてローマ軍が強かった理由は兵站を最も重視した事です。海路を使えれば主要な港を押さえ、内陸を進軍する場合は要所要所に野営地をもうけ補給拠点としました。この野営地を『カストラ』と呼びます…

スキピオ・アシアティクスとマグネシアの戦い

ルキウス・コルネリウス・スキピオ・アシアティクス(紀元前2世紀、 生没年不詳)、どこかで聞いたことのある名だと思います。実はこの人、ザマの戦いでカルタゴのハンニバルを破った共和政ローマ救国の英雄スキピオ・アフリカヌスの実の兄です。スキピオ家…

クセノフォンとクナクサの戦い

ソクラテスの弟子クセノフォンが記した『アナバシス』。ギリシャ語で「上がり」という意味ですが、アケメネス朝ペルシャの王位継承戦争に傭兵として参加したクセノフォンたちが、敵中に孤立し苦難の末小アジアを抜けてギリシャに帰り着くという内容です。日…

フィリッポス2世とカイロネイアの戦い

アレクサンドロス大王を生んだ国マケドニア。ギリシャ世界の北縁に位置しギリシャ世界のヘレネス(ポリスの市民である文明世界の住民という意味)とは異質のバルバロイ(蛮族)と蔑まれました。実際、ポリスの共和制とは違う王制を採用しますが、民族的には…

ベーラ4世とモヒの戦い

ヨーロッパ中央部、チェコからスロバキア、ポーランド、ウクライナ、ルーマニアと半円形に広がるカルパチア山脈。山脈に囲まれた盆地あるいは平原をパンノニア地方と呼びます。この地は後にハンガリーとも呼ばれました。もともとパンノニア族やゴート族が住…

アエミリウス・パウルスとピュドナの戦い(後編)

アレクサンドロス大王の父フィリッポス2世が作った『ハンマーと金床戦術』。サリッサと呼ばれる5mもの長さの槍で武装した重装歩兵ペゼタイロイのマケドニア式ファランクス(密集歩兵陣)を金床として敵部隊を拘束し、両翼の重装騎兵ヘタイロイがハンマーとな…

アエミリウス・パウルスとピュドナの戦い(前編)

ギリシャの一角に興り欧亜に跨る大帝国を築いたアレクサンドロス大王。彼の死後将軍たちが大王の遺領を巡って激しく争い3者が生き残りました。すなわちアンティゴノス朝マケドニア、セレウコス朝シリア、プトレマイオス朝エジプトです。これをディアドコイ(…

墨守

古代支那戦国時代は諸子百家と言われる思想家たちが多数出てきた時代でもありました。有名なものでは孔子・孟子の儒家、老子・荘子の道家、儒家の荀子から発展した法家などがあげられます。その一つに兼愛非攻の博愛主義を掲げた墨子の墨家がありました。 墨…

テキサス問題と米墨戦争

1776年の独立以来膨張を続けるアメリカ合衆国。イギリスの植民地だったミシシッピ河東岸を獲得したのは1700年代末から1800年代初頭にかけてでした。当時人口の大半はアパラチア山脈から大西洋岸にかけての独立した13州とその周辺に密集していました。ただ自…

パウル・フォン・レットウ=フォルベック  アフリカの獅子

第1次世界大戦が始まる前、ドイツ帝国は海外に植民地を持っていました。植民地大国である英仏には及ばずともアフリカには現在のナミビアに当たる独領南西アフリカ、現在のカメルーンに当たる独領西アフリカ、独領トーゴランド、現在のタンザニアに当たる独領…

アレッポとアレッポ城 - 世界の都市の物語 -

アレッポはシリア最大の都市で人口167万人を誇ります。シリア内戦でたびたび話題になる北部の要衝でその起源は少なくとも紀元前3500年くらいにもなるという世界最古の都市の一つです。写真を見てもらうと分かる通り、市街の真ん中に漫画のような楕円形の丘が…

世界史上難攻不落の城、襄陽城

5回に渡って見てきた世界史上難攻不落の城。その半分は住民も防衛戦に参加する城塞都市でした。というのは、日本と違い洋の東西を問わず大陸では落城=自分たちの国の滅亡で住民は殺されるか奴隷に落とされるかの過酷な運命だったからです。その意味では、住…

世界史上難攻不落の城、マサダの城塞

今回のマサダは知っている人が多いかもしれません。場所はイスラエル、死海の畔、西岸にある岩山です。死海から見ると標高400mもあります。ところが海抜0m。その理由は死海が海抜マイナス400mだからです。死海から地中海まで100㎞くらいしかありませんが、マ…

世界史上難攻不落の城、クラック・デ・シュヴァリエ

場所はシリアのレバノン国境近く、標高650mの山頂にある十字軍の城です。もともとは地元イスラム土侯の城でしたが第一回十字軍(1096年~1099年)の時、ツールーズ伯レイモンに攻め落とされました。その後紆余曲折がありトリポリ伯レイモン2世から1142年聖ヨ…