

ただ運動性が高いため「(敵を)落としにくいが(自分も)落とされにくい」という妙なポジションの機体となりました。機体を自在に操る事が出来るベテランパイロットは生存性が高いことから意外に好まれていたともいいます。
隼に関する本を読んでいると、主翼が3本桁構造だったので翼内装備できなかったとあります。最初私はこれが理解できませんでした。
ちなみに、桁というのは主翼の骨組みで主翼を貫くように横にのびる構造材です。横から見るとIの字状になっています。通常桁は1本か2本。それが隼は3本なのです。3本なら頑丈なので機銃装備するのも容易ではないか?と素人考えで疑問に思ったんです。
ですが、三面図と内部図解をみて謎が氷解しました。他の機体のそれと比べると分かりますが隼の主翼は薄いんですよね。ですから3本桁で補強しなければならなかったわけです。
運動性を上げるためには機体を極限までスリムにしなければなりませんが、その分主翼構造も薄くする必要があったのでしょう。同時期に出現した海軍の零戦は翼内装備していますが20㎜機関砲の発射の際振動で命中率に影響があったという話も聞きます。エリコン社製で初速が遅いというだけではなく主翼構造上も問題があったのかもしれません。