

マイナーなフランスの戦闘機の中では一応名の知られた機体(ただしマニアのみ 爆)。
なぜかほぼ同時期に登場したモラーヌソルニエMS405より評価が低く、あちらが休戦までに1000機以上納入されたのに対し400機足らずに終わっています。
おそらくこれは試作機の試験飛行の成績が悪かったからでしょう。しかしエンジンの換装、ラジエーターの配置変更、方向舵の改修などで空軍の要求をクリア。1939年から量産型の発注を受けました。
ちなみに520とはドボアチン社の目標速度のことで、量産型はみごとそれをクリアしました(534km/h)。
ライバルのドイツBf109より速度で30km/h劣るものの機首に20㎜モーターカノン、主翼に7.5mm機関銃×4装備し、むしろ攻撃力では勝っていました。何よりも頑丈で操縦しやすい当時フランスでは最良の戦闘機でした。
エンジン生産の遅延などで、ドイツ軍侵攻時に実戦配備されていたのはわずか30機あまりだったそうです。その後急ピッチで配備が進められたものの、空戦でBf109に敵わず戦局には寄与しませんでした。
フランス降伏後は、ヴィシー政権のもとで生産が続けられ総生産数は929機(775機説もあり)。またそこそこの性能があるのでドイツ軍もこれを生産し、高等練習機として使用します。一部はルーマニア、ブルガリア、イタリアに支給され防空戦闘に活躍しました。
戦争がなければもっと高性能な機体に発展した可能性もありましたが、母国の敗戦でそれもままならなかった悲劇の機体です。
【性能諸元】
全長:8.76 m
全幅:10.18 m
全高:2.56 m
全備重量:2,780 kg
最大速度:529 km/h
上限高度:11,000 m
航続距離:998 km(戦闘)、最大で1530km
20mm機関砲×1
乗員:1名