

機体の前後にエンジンを搭載した異形戦闘機。そのため双発機とは思えない運動性を発揮し、最高速度も770km/hとレシプロ機としては究極とも言うべき速さを誇ります。
ドイツらしい斬新な機体で他国は真似しようがありませんが、その分構造が複雑で量産には不向きでした。ドイツ空軍がこれではなくジェット機のMe262を量産したのは正解だったと思います。
機体の後方にエンジンを搭載するのは、ジェット機では当たり前ですがプロペラ機ではパイロットに不評でした。脱出時に回転するプロペラに巻き込まれミンチになる可能性があるからです。そのためDo335も脱出時、後部プロペラと垂直尾翼を爆破し圧縮空気による射出機で座席ごと打ち出す仕組みでした。ただこれは故障もあるわけで、量産されたら被撃墜時にミンチになって亡くなるパイロットが続出したかもしれません。
生産数も少なく(38機)実戦にはおそらく参加していないと思いますが、戦っていたら圧倒的な強さを発揮していたでしょう。ただこれもMe262などと同様よほど大量生産しないと戦局挽回は不可能で、構造上それは難しかったので絵に描いた餅でした。これを量産するくらいならジェット機をもっと早い段階から戦力化していれば挽回の可能性はありました。ジェット機の場合はヒトラーや航空当局の不手際があって早期戦力化の道を断たれていましたから。
【性能諸元】
全長 | 13.85m | 全高 | 5.00m |
全幅 | 13.80m | 翼面積 | 38.50m2 |
自重 | 7,400kg | 最大重量 | 9,600kg |
最高速度 | 770km/h(高度6,400m) | 上昇限度 | 11,400m |
航続距離 | 1,380km | 巡航速度 | 685km/h(高度7,100m) |
発動機 | ダイムラーベンツ DB603E 液冷倒立V型12気筒 2,000馬力×2基 (出力はMW-50水/エタノール噴射装置を使用した緊急出力) | ||
乗員数 | 1名 | 総生産機数 | 37機(諸説あり) |
武装 | 15mm機銃×2、30mm機関砲×1、爆弾最大1,000kg(胴体内500kg、主翼下250kg×2) |
上のデータを見てもらうと分かりますが巡航速度でFw190D‐9の最高速度を超えてますよ!まったくもって恐ろしい…。