
しかし、実態はそんな事をしなくても干上がる寸前だったのです。
ご存知の通り日本は資源小国で海外からの物資の輸入がなければ立ち枯れするという宿命をもっています。これは島国であるイギリスも同様で、実際第1次、第2次大戦でドイツのUボートの跳梁跋扈を許し一時はたいへんな危機に見舞われました。
イギリス以上に海外依存度の高い日本の実態はどうだったでしょう?
そのうち海軍徴用が約200万トン、陸軍が約160万トン、残りの200万トン弱が民需用でした。ただし国民生活を最低限維持するためには300万トンが必要だといわれていました。
日本を締めあげるのに最も安全で効果的な作戦は通商破壊戦だということは素人でも気がつくと思います。日本の潜水艦が連合軍の艦船を主に狙ったのに対し、米英潜水艦は日本の商船隊を徹底的に攻撃しました。
しかも日本は通商破壊戦に対する認識が甘い、というより皆無だったためろくに護衛もつけずいたずらに被害を増すばかりでした。
日本の商船船腹が最大でも650万トン前後までだったのは、生産しても生産しても片っ端から沈められたからです。
大戦中の日本の建造数が336万トン、喪失量800万トン、敗戦時に生き残った船腹量が165万トン、ただし稼働数はその1割も無かったかもしれません。
数もそうですが質においても日本の商船は大きく劣っていました。2万トン以上の大型船はほとんどなく、12ノット以上の速力を持つ優良貨物船が1割強。ちなみにイギリスは4割以上です。21ノット以上の快足輸送船に至っては日本はゼロでした。(アメリカ12隻、イギリス8隻)
国力の違いと言ってしまえばそれまでですが、船がないために日本は陸兵を輸送する時貨物船に入れて運んでいました。ちなみに米英は客船。もちろん第1次上陸部隊はLST(Landing Ship Tank 戦車揚陸艦)やLSI(Landing Ship Infantry 歩兵揚陸艦 通常はLSと略されることが多い)ですが。
貨物船は荷物を運ぶのが専門なだけに、人が乗ると大変だったそうです。物扱いで船倉に閉じ込められ戦場につくまでにへとへとになっていたといわれています。
第1次大戦でのイギリスの惨状も見ていたはずなんですが。
開戦前極東に新鋭戦艦のプリンス・オブ・ウェールズとレパルスを派遣しようとしたチャーチルは、海軍高官から日本には有力な艦隊があるから危険だと反対され
「いや、日本も我が国と国情が似ている。通商破壊戦に備えなければいけないはずだ。シンガポールに兵力を差し向ける余裕はないのではないか?」
と答えたそうですが、開戦時日本は全く通商破壊戦に注意を向けていなかったため、やられてしまいました。
ただチャーチルの言う通り、ノーガードで通商破壊戦をまともに食らった日本は急速に弱体化し、干上がっていったのです。
そして現在も日本は海外からの輸入なくしては国が成り立っていきません。それなのになぜシーレーン防衛に力をいれないのでしょうか?なぜ為政者は戦史から学ばないのでしょうか?
だから民主党はインド洋給油にもソマリア海賊問題にもまともに取り組もうとしないのかもしれません。危機管理能力以前の問題でしょう。少しでもまともな頭脳を持っていたら海上交通路の安全=日本の生命線だと気付くはずなんですが…。
それとも日本を滅ぼすために、わざと危険を呼び込んでいるのか?いい加減有権者が目覚めなければいけませんね!こんな屑政治家を選んでいる場合じゃないですよ!