

このリバティ型は、日本のように戦争中の商船喪失に蒼くなって泥縄式に計画されたわけではありません。
もともとは1933年ルーズベルト大統領が海運立て直しのために議会に提出した教書から始まりました。それは1936年商船法として結実します。
1937年アメリカ海軍委員会が設置され、その方針に基づいて各種商船の標準設計企画がまとめられます。この輸送船設計をもとに戦時標準船としてさらに簡略化されて誕生したのがリバティ船です。
このためはじめから大量生産を前提とし性能は平凡ながら海上兵站線維持に必要十分な能力を持っていますた。積載量一万トン、戦後もアメリカの海上輸送を支えたため、一万トンクラスの輸送船をリバティ級輸送船といわれるようになるほど一般化しました。
リバティ船は2708隻、同じく戦時標準船であるT-2型タンカーは200隻、さらに大型規格船であるヴィクトリー船も414隻と恐るべき建造数を誇ります。
リバティ船はあまりに設計を簡略化しすぎたことから船体の脆弱性で200隻余りが事故で失われましたが、その度に問題点を改善し次第に技術力をあげて行きました。
現在リバティ船の建造方法である溶接構造船体が世界に普及し一般化した事でもそれはうかがわれます。
欧米諸国はかくの如く兵站線の維持に最も神経を配っていました。まさに(民需も含めた)補給こそ近代戦の要。日本では今でも補給に関する意識が低い(軍事専門家と称する人間でも!)ですが、諸外国から見たらあり得ない事です。それが平和ボケといわれる所以かもしれませんね。
【性能諸元】
総トン数 7180t
重量トン 10600t
全長 125.3m
全幅 17.2m
主機関 レシプロ
出力 2500hp
最高速度 14kt/h
航海速度 11kt/h
武装 102㎜砲×1
37㎜砲 ×2
12.7㎜機関銃 ×6