鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

そもそも論で言えばクリミアはウクライナの土地でもロシアの土地でもない

 
 クリミア半島、世界史に興味のある方なら百も承知ですがもともとウクライナとは別の国・地域で、もちろんロシアとも何の関係もありません。ロシア帝国拡大の過程で征服されただけ。
 
 古代はキンメリア人やスキタイ人の天地。半島南部にはギリシャ人の植民都市ができゴート族、フン族、ハザールなどの侵攻を受けました。ビザンツ帝国にも属したしモンゴルのキプチャク汗国の領土にもなりました。キプチャク時代後期、遊牧国家が分裂するとクリミア半島には一方の雄としてクリミア汗国が成立しています。ちなみにクリミア半島遊牧民が栄えたのはよほど牧草地として好条件だったのでしょう。クリミア汗国などは最後までロシア帝国の拡大に抵抗した国でクリミア戦争の遠因の一つにもなっています。
 
 クリミアン・タタールというのはこのクリミア汗国の人々で、そもそも論を言うなら彼らこそクリミア半島の正統な領有者であるはずです。しかしソ連スターリン時代多くのクリミアン・タタール中央アジア強制移住させられました。クリミア半島黒海の出口に当たる戦略上の要地なのでロシア人が多く進出し今に至っているのです。
 
 現在はロシア人が人口の6割を占め、黒海艦隊の基地もあるためロシアはこの地を絶対に手放すはずないと思います。これを覆すには戦争するしかない。果たしてアメリカやEUにそこまでの覚悟があるかどうか?
 
 その前に、いくらロシア寄りで腐敗していたとはいえ正統な選挙で選ばれたヤヌコビッチ大統領をクーデターで追放した暫定政府側に正当性があるのでしょうか?一説ではクーデター劇にアメリカCIAの関与も噂されそれを知っている各国はアメリカのロシア制裁に今一乗り気になっていません。
 
 単純な民主化云々で語れるような生易しい問題ではないのです。ウクライナ自体もロシアから離れEUに加盟したい西側とロシアから離れると経済が破綻するのでそれに反対する東側とに分裂していると云います。ウクライナ問題がこじれると第3次世界大戦にもなりかねません。
 
 日本にとっても北方領土問題を抱えているし、プーチンとは今のところ蜜月状態で状況打開の可能性も考えている安倍政権は、悩んでいると思います。安倍さんは、正直なところアメリカの勇み足に辟易しているところでしょう。現実的な解決策としては、ウクライナ憲法が云々などと屁理屈は言わないで民主的に住民投票で決めるしかないでしょう。クリミア独立もウクライナEU加盟も。
 
 私がアメリカの態度で許せないのは、「対ロシア制裁でアメリカに同調しなければ尖閣で不測の事態が起こっても知らないぞ」と脅しをかけているところ。アメリカは尖閣施設建設にも猛反対し、支那に不必要な譲歩を繰り返し一つも日本のために働いてないじゃないか!(怒)口だけは尖閣日米安保の範囲とかぬかしてますが、ヘタレオバマ政権が支那の核の脅しで尖閣危機にまったく動かない可能性だってあるんですよ。
 
 アメリカは、自己の都合の良い時だけ日本を重要な同盟国扱いしますが、靖国参拝にも反対し韓国の主張は無批判で受け入れ捏造慰安婦で日本に圧力をかける始末。こんな国が果たして同盟国といえようか?
 
 日本の戦後体制のラスボスはアメリカ。アメリカの圧力を跳ね返さない限り日本がまともな国になる事はない。といってことさらに敵対するのは愚の骨頂ですが、唯々諾々と従う属国ではなく、アメリカが間違っていたらやんわりと指摘できる対等な同盟国となる事を目指すべきじゃないか?
 
 その意味では安倍外交は正念場を迎えているとも言えますね。このままアメリカに無条件で追従していてはいつまでたっても戦後体制から脱却できませんよ。日米同盟を基本路線としながらもアメリカに正当性がないごり押し外交に対しては賛同できないと堂々と主張できる国であってほしいと考えます。
 
 
 
 
追伸:
自国のパナマ運河支配のためだけにパナマをコロンビアから独立させたアメリカに、クリミアの独立ロシア編入を批判する資格はないのでは?