鳳山雑記帳はてなブログ

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日本軍空対艦ロケット弾の可能性

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  ※第2次大戦中主な空対地ロケット弾。ただしフリッツXは誘導爆弾。Hs293は誘導ロケット弾(=ミサイル)
 
 
 突然ですが、皆さんロケットとミサイルの違いって分かりますか?簡単に言うと何らかの誘導装置も持っているのがミサイル、そうではなく撃ちっぱなしなのがロケットです。
 
 なんでこの記事を書いたかというと、兵頭二十八・宗像和弘共著「日本の海軍兵備再考」という本を読んだからなんですね。
 
 同書で特攻より空対艦ロケットを実用化した方が良かったという考察があり、だったら実現可能性はどうだったのか?自分なりに調べてみたんです。
 
 理想的にはドイツのようにHs293のようなミサイルか、フリッツXのような誘導爆弾ならベストなんですが、VT信管も実用化できなかった日本の技術力では絶望的だという事で、これは考慮に入れません。
 
 可能性としては対地ロケットを転用できないか?という事なんです。ちなみにドイツのR4MはメッサーシュミットMe262ジェット戦闘機に搭載され敗戦までに500機以上の連合軍爆撃機を血祭りにあげた優秀なロケット弾です。対地対空両方に使える優れ物でした。
 
 対艦用ですから、弾頭重量が少なくては話になりません。撃沈は不可能としても最低限艦船の上部構造物くらいは破壊できないと駄目でしょう。
 
 とすれば参考になるのは弾頭重量225kgのティニー・ティム ロケットでしょう。1944年アメリカ海軍で実用化され沖縄戦を皮切りに朝鮮戦争にも投入されました。威力は抜群で、実質500kg爆弾に匹敵する上にロケットモーターによって重力加速度まで付いてますから突入時には音速を超えていたのでは?と思います。
 
 これが移動する艦船に当たるかどうか?ですが一応米海軍は艦船攻撃にも使用するつもりだったようです。ただその頃は日本海軍もまともな艦船を持たず、北朝鮮・中国は論外ですから実戦での成果は分かりません。
 
 急降下爆撃機と同じ要領で、しかも緩降下で軸線を合わせればいいだけですから猛訓練を施せば30%くらいは命中できそうな印象です。加速力がつくので急降下爆撃より当たるかもしれません。
 
 すくなくとも桜花のような特攻専用ロケットよりは実用的だと思います。弾頭は1200kg徹甲爆弾ですが、推力800kg×3発のロケットで9秒噴射のみ。突入速度も1040km/h程度。パイロットの死亡を前提にする兵器など絶対に作ってはいけない物でした。発射母機の一式陸攻は、桜花発射までにわずか300km/hのよたよた運転しかできませんでしたから米艦載機のよい鴨でした。
 
 これなら500kg爆弾と一緒ですから銀河や飛龍(流星や天山でもいけるかも?)から発射できます。難題はティニー・ティムでも問題になったロケットモーターの噴射で母機を傷つける事です。米海軍は、ロケットを爆弾のように切り離して発射しロケットに取り付けた索が離れる瞬間ロケットモーターを点火する事で解決したそうですが、日本にそこまでできる技術があるかどうか?
 
 
 ただ合理的に考えた場合、たとえ実用化できなくとも日本海軍(陸軍も!)は空対艦ロケットを開発すべきだったのではないでしょうか?それがまともな戦争指導だったと思いますがどうでしょう?