鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

書評 「虚構(バーチャル)戦記研究読本 戦術・作戦篇」

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 某ミリタリー系ホームページで紹介されていたので、試しに読んでみました。アマゾンで46円+送料だったし(爆)。
 
 まあこんな本です。
『歴史の事実を誤解・曲解・ご都合で、つぎつぎ生み出されるパラレルワールドシミュレーション戦記。史実と架空のはざまで揺れ動く不条理の世界をディープに味わう完全マニュアル。〈ソフトカバー〉 』
 
 
 あんまり期待しないで読んだんですが、なかなか楽しめました。よくある研究読本や研究序説のようなおちゃらけた内容を想像してたんですが、中身は意外と硬派だったように思います。
 
 「あの時ああしていれば?」とか「もしあの行動をとっていたら?」とかの所謂たら・ればは先の大戦においても無数に言われていますが、よくよく冷静に分析すると現実はそういう甘い話でなかった事に気付かされます。
 
 
 例をあげると、
「もし、真珠湾攻撃で2次攻撃を行い真珠湾重油タンクを完全に破壊していれば、太平洋艦隊の行動は半年間完全に停止させられていただろう」
 
 それに対して本書では
重油はガソリンと違って燃えにくい。それを破壊し炎上させるのは当時の日本海軍の戦力では不可能に近い
重油に関連して港湾施設破壊も言われるが、これも欧州戦線のマルタ島の戦訓でも半年もかからず修復可能。
③万が一、破壊が成功してもアメリカはタンカーを真珠湾に常駐させそこから補給すれば良いだけの話
などと反論しています。
 
 
 ①などは意外に盲点になっているところです。重油タンクの破壊で太平洋艦隊の行動を阻害させられたはず、という主張は成否はともかく素直に受け入れられています。(私も信じていたくらい)
 
 しかしよくよく考えてみると、ガソリンタンクを保護するために二重にしたタンクの間に重油を入れて保護するくらいで燃えにくい(=揮発性が低い)ものです。燃えるのは燃えるでしょうが、ガソリンのように大爆発を起こすような代物じゃないのは確か。
 
 まあ本書の主張で中には疑問符がつくのもありますが(苦笑)、おおむね常識的線で納得できるように感じました。
 
 
 ただアマゾンの書評のように、あまりおかしい設定(ハワイを占領できたら?=補給が続かないetc)はともかく、架空戦記を読む人はそんなことは百も承知で楽しんでいるのだから、それに目くじらたてなくてもいいんじゃない?なんていう至極まっとうな突っ込みはありますけどね(笑)。覇者の戦塵とか面白いよ~♪
 
 
 
 
追伸:姉妹編の「兵器・戦略篇」は戦艦大和の副砲の防御力とか明らかな嘘が書かれているので読まなくていいそうです(爆)。
 
 
 
さらに追伸:書き終わってから気づいたんですが、重油タンクを破壊して大量の重油真珠湾を埋め尽くしそれが炎上したら事実上基地としては当分使えんわなあ(苦笑)。それだけの量があったのかどうか検証する必要はあるけど。あれ?もうこの本の粗が見えてきたぞ(爆)。まあ、ここまでケチつけて全否定する気はないけどね。この本の作者の言うことも常識的で納得できるし…。