

バトル・オブ・ブリテンで、ドイツの侵略を撃退した救国戦闘機スーパーマリン スピットファイア。名エンジンと呼ばれたロールスロイス マーリンエンジンを搭載した当機も日進月歩の戦闘機開発競争の中で次第に力不足が目立ってきました。
グリフォンエンジンはたしかに2000馬力級の優秀エンジンでしたが、上記の条件のために重力バランスなど十分検討されないままかなり無理して開発されました。
こうして完成した機体は、従来のマーリンスピットと比べノーズがほっそりしていていかにも高速機というイメージがあります。実際最初の量産型Mk14で740km/hという驚異的なスピード能力を示しました。
空戦性能もこれまでのマーリンスピットをあらゆる面で上回り、連合軍でトップクラスの優秀機でした。
ところが、イギリス軍パイロットには不評だったようです。なぜなら能力向上の代償として燃費が悪くなり、もともと短い航続距離がさらに短くなりました。マーリンエンジンに最適になるよう設計されていたため重力バランスもおかしくなり、操縦しにくい機体となりました。
これは空軍当局が開発期間を短縮するために機体構造をなるだけいじらせなかった弊害でした。
最高速度:720km/h 703km/h
上昇限度:13560m 12770m
航続距離:740km 2655km
武装: 12.7㎜×2 12.7㎜×6
20㎜×2
爆弾227kg×1 爆弾454kg×2、または5インチロケット弾×10
防空戦闘しかできないグリフォンスピットよりマスタングがはるかに使いやすかったでしょう。実際英空軍もエスコート任務にはマスタングを使ったケースが多かったそうですし…。最初にマスタングにマーリンエンジンを載せたのもイギリスですしね(苦笑)。