オーストリア・ハンガリー二重帝国が竣工させた最初で最後の弩級戦艦。内陸国のオーストリアがなんで戦艦?スイスの湖にでも浮かべてたの?さにあらず(笑)。
世界史地図を持ってる方は、地図を拡げて見てください。当時(第一次大戦まで)のオーストリアはハンガリーと二重帝国を形成し、セルビアを除く旧ユーゴの大半を領する大帝国だったのです。さらにイタリア統一前には北イタリアの大部分も領土でした。
このフィリブス・ウニティス級戦艦は、アドリア海の制海権を握るためにオーストリアが建造しました。当時主流になりつつあった13.5インチ(34.3cm)以上の大口径砲ではなく12インチ(30.5cm)という口径の主砲を採用しましたが、そのかわり三連装で四基十二門という砲力を誇りました。ドイツに設計を依頼し堅実にまとめられたなかなかの優秀艦です。同級艦は4隻。航続距離を考える必要がないため、ドイツ艦らしく防御に重点が当てられました。
まあドイツに設計を依頼したら大口径砲の戦艦は造ってくれんわな。敵よりも1ランク下の主砲で防御だけは馬鹿硬い戦艦を造るのが好きだかんね。どうせ依頼するならイギリスのヴィッカース・アームストロング社にすればよかったのに。あの国は、自国の艦より1ランク上の主砲を搭載した戦艦を実験的に造ってみる(日本の戦艦「金剛」とか)のが好きだからね(爆)。
この艦型をはじめて知ったのはジェネラルサポートの「激闘八八艦隊海戦史」というシミュレーションゲームでした。私もこれを見たときは、「なんで内陸国のオーストリアに戦艦?」と思いました(笑)。