イスラエル空軍に関する記事を書いたので今回は海軍です。陸軍、空軍に比べイスラエル海軍の印象は薄いと思います。イスラエルは伝統的に陸軍国で空軍も強いですが、海軍の重要性は他と比べたら低いです。とはいえ、周囲を敵に囲まれているイスラエルとしては海軍も必要です。地中海の制海権、シーレーンは米第6艦隊が掌握しているんですが、イスラエル近海の防衛は自国海軍が担当しなければなりません。
イスラエル海軍は、大型の駆逐艦、フリゲートは保有していません。主力は小型のコルベットとミサイル艇です。それと若干の潜水艦。2000年代初頭までは満載排水量1275トンのサール5型(エイラート級)が主力でした。これに対し満載排水量1900トンとやや大型になったのがサール6型(マゲン級)です。2020年就役。
サール6型は、コルベットとしては大きな方です。驚くべきはその武装で、こんな小さな船体にバラク8SAMを32セル、C-Dome近SAMも20セル積んでいます。バラク8は70㎞以上の射程を持つ対空ミサイルで一説ではスタンダードSM-2MRに匹敵する性能だとも言われます。C-Domeは名前からも想像できる通り、近距離防空ミサイルとして世界的に評価されるアイアンドームの艦上型です。
加えてSSM(艦対艦ミサイル)を16発も搭載しています。通常の倍です。他国では8発が標準です。76㎜単装砲1基、324㎜魚雷発射管にSH-60ヘリコプター1機も搭載できます。1900トンの船体に詰め込めるだけ詰め込んで復元性はどうか?外洋航行能力はどうか?と心配になってきますが、イスラエルの近海で活動するだけなので割り切った設計なのでしょう。
通常の海軍なら5000トン級の駆逐艦かフリゲートに載せるくらいの重武装です。設計はドイツのブラウンシュバイク級コルベットに基づいているそうですが、ブラウンシュバイク級の方がはるかに軽武装です。ドイツ海軍の場合は大型のフリゲートがあるのでコルベットにそこまでの武装は必要ないのでしょうが、イスラエルはこれが主力艦なのでこうなったのでしょう。速力も26ノットとちょっと遅いです。
機関はウィキでは単にディーゼルと書いてありますがCODADかCODOGかディーゼル単機関か良く分かりませんでした。外洋に出ないのならガスタービン機関は必要ないのかもしれません。仮想敵国のエジプトもシリアもろくな海軍戦力はありませんからね。
ちなみに前級サール5型の機関はCODOG(ディーゼルとガスタービン切り替え)で33ノットの速力を誇ります。
今後サール6型コルベットは中東紛争で名前が出てくるかもしれませんのでご注目下さい。