非常にマニアックで申し訳ない。軍事に興味のない方はスルーしてください。
APFSDSというのは装弾頭付翼安定徹甲弾のことで現代戦車の主力砲弾です。APFSDSに関しては過去記事で詳しく書いたのでここでは簡単に紹介しますが、砲弾を発射すると侵徹体(細長いミサイルのような形をしている)を包んでいた装弾筒(Sabot サボ)がパカっと割れ中の侵徹体だけが飛んで行って目標に命中します。例えば砲の口径120㎜なら120㎜砲のエネルギーを保ったまま細長い侵徹体が飛んでいくので、目標に命中した場合侵徹体の先端にそのエネルギーが集中しものすごい貫徹力になります。
命中した侵徹体はマッシュルーム状に広がり敵戦車の装甲にめり込みながら侵入、貫徹します。侵徹体の材料にはタングステン合金が使われる場合が多いですが、アメリカやロシアはさらに凶悪な劣化ウラン合金を使っています。劣化ウランはタングステンより重い重金属なので威力が上がります。さらに一旦装甲を貫徹すると、残った侵徹体は燃え上がり敵戦車内部を放射能を加えた火の海にします。いくら高威力でも環境に悪く人道的にもどうかと思うんですが、アメリカやロシアは自国で使われる可能性が低い事、勝つためには環境(しかも敵地の!)など知ったことではないという理由で劣化ウラン弾を使用しています。湾岸戦争やイラク戦争後放射能汚染が進んだ元凶です。
米ロは恐ろしい国ですよね。図表は一応wikiを参考にその他の資料を集めて作成しましたが、数値が分かれておりあくまで参考程度にしてください。潜水艦の圧壊深度、機雷の性能などと同じく軍事機密なので正確なデーターは出てきにくいのかもしれません。
ドイツの最新APFSDSであるDM63のデーターが見つからなかったのですが、ある資料によると従来のDM53の改良型で若干威力が上がっているとのこと。ちなみに日本の10式戦車の砲弾10式装弾頭付翼安定徹甲弾はDM63と同等だそうですから少なくとも2000mの距離でRHA(均質圧延装甲)換算650㎜以上の威力があります。
加えて16式機動戦闘車でも採用されている105㎜ライフル砲用APFSDSベルギー製M1060A3は距離2000mRHA換算460㎜の貫徹力がありますから初期の120㎜APFSDSであるDM33とほぼ同等の威力があります。技術の進歩は恐ろしいですね。一部で言われている韓国のK1A1戦車(A2も含む)は105㎜ライフル砲を無理やり120㎜滑腔砲に換装し色々不具合が生じてますから105㎜砲に戻し砲弾としてM1060A3を採用したらどうか?という声もあるとか。威力は同等ですからね。まあ韓国の事ですから知ったことではないが。ちなみにあれだけ鳴り物入りで登場した(というかまともに実戦配備もできていない)K2戦車に関しては当の韓国陸軍関係者ですら匙を投げているそうです。K1A1戦車改修の件はK2よりまだしも実用的だから軍関係者の中から声が出ていると言われます。本当に困った国です(苦笑)。