ちょっとマニアックになり、かつこの方面の知識が薄いのでグダグダな記事になるとは思いますが、気になったので調べてみました。
財務省の横槍で戦車保有定数を大きく減らされた陸上自衛隊。現在の防衛大綱では300両と機甲師団プラスアルファくらいしか保有できないことになります。その窮余の策として導入されたのが装輪式の16式機動戦闘車。主砲は74式戦車と同じ105㎜ライフル砲ですが、74式の51口径ロイヤル・オードナンスL7A1ではなく、52口径の新型砲です。52口径ですからイタリアのチェンタウロと同じオートメララ52口径105㎜砲と思いきや国産砲みたいですね。
16式機動戦闘車は91式105㎜多目的対戦車榴弾(HEAT)と93式105㎜装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)を使用します。では93式APFSDSの威力がどのくらいか調べてみました。初期(74式戦車使用時)の威力は初速が1500m/s。距離2000mRHA(均質圧延装甲)換算で貫徹力414㎜でした。
これだとNATO諸国が使う105㎜ライフル砲用のAPFSDSであるベルギー製M1060A3の初速1560m/s、距離2000mRHA換算で貫徹力460㎜より劣ります。そのため防衛省は93式の威力向上を目指してダイキンに開発を依頼したそうですが、どのくらい向上するのか気になります。
世界では105㎜APFSDSの技術向上が日進月歩で最新のものは同条件で650㎜の貫徹力のものもあるそうですが、詳細は分かりませんでした。おそらく93式もM1060A3も侵徹体はタングステン合金のはずで、アメリカやロシアのように劣化ウラン弾芯だったらもっと威力が上がると思います。
一応、現在敵対する可能性が高いロシアの主力戦車T-90Mのデータは分からなかったんですが、そのひとつ前のT-90Aで車体前面、砲塔前面でともにRHA換算830㎜の対運動エネルギー弾防御力を持っているそうですから、真正面からぶつかれば16式機動戦闘車の勝ち目はありません。待ち伏せして側面や背面を攻撃すればワンチャンありそうですが、敵戦車に対しては素直に10式戦車を出すか、対戦車ミサイルなどで対処する方がよさそうです。
16式機動戦闘車は、ほかの西側諸国の戦術と同じように主力戦車到着までの時間稼ぎの役割しかなさそうです。と言っても戦車以外には使えそうなのでロシアやシナに対しても一定程度の抑止力はあると思います。北海道だけでなく九州も西部方面戦車隊(戦車2個中隊基幹)は少なくとも連隊規模(4個中隊基幹)くらいは最低限ほしいですよね。
本当は米軍並みに44両定数の1個戦車大隊を各師団に配備したほうが良いんですが。あと虎の子の第7師団は米軍式の5個戦車大隊に機甲偵察大隊の27両を合わせて247両くらい戦車を保有すべきなんですよ。それで旅団戦闘団を編成してくれれば理想です♪
戦車を減らすのなら16式機動戦闘車でも良いから、各師団に1個大隊(米軍式編制、自衛隊では中隊が連隊に属しているからおかしい)44両定数くらい配備してほしいですね。米軍は贅沢すぎ。歩兵師団も実質機甲師団だし、機甲師団は6個戦車大隊(機甲偵察大隊と合わせて271両?)だから羨ましすぎます!軍事研究2023年12月号によると2023年の米第1機甲師団の戦車保有定数は261両だからどこか減らされているね。編制図を見ると各戦車中隊の本部小隊が戦車2両から1両に減らされているから、それが原因か?戦車中隊は4両定数の小隊×3に本部小隊2両で14両が好きです。13両は数字的にも縁起が良くないような(苦笑)。
ともかくいつ有事が起こるか分からないんですから、10式戦車、16式機動戦闘車はもっと保有定数を増やすべきだと思うんですよ。せっかく防衛費も倍増するんだし。