鳳山雑記帳はてなブログ

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軟鉄なら1000㎜侵徹はあり得る

【中国】中国の最新戦車砲は「厚さ1メートルの鉄板を撃ち抜く」と豪語、中国ネット「バカバカしくてコメントできない」


 支那のネットユーザーは絶対あり得ないとの前提で議論してますが、記事をよく読むと通常戦車砲の貫徹力の指標となる均質圧延装甲とは書いてません。ということで普通の軟鉄ということもありえます。

 均質圧延装甲なら現在最高の貫徹力を誇るのはNATOが使用するタングステン弾芯のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)の55口径120㎜滑腔砲用戦車砲弾DM53で810㎜。条件はRHA(均質圧延装甲)換算、距離2000m、撃角0度。これに次ぐのが同条件で貫徹力700㎜のアメリカ製劣化ウラン弾APFSDSであるM829A3です。これは44口径120㎜滑腔砲用です。最新のM829E4は資料がないので分かりませんがもっと貫徹力があると思います。

 ちなみに均質圧延装甲(RHA)とは、炭素鋼(スチール)にニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)等を若干ずつ加えた合金のことです。第2次大戦ごろから使用され始め、合金を圧延し熱処理したものが使われました。それまでの装甲板に比べ割れにくく強靱であったため広く普及します。現在ではチョバムアーマーなどの複合装甲が一般化し戦車の主要部はこちらが使われていますが、戦車砲の威力を図る基準としてはRHAが使用されています。複合装甲は種類が多すぎて一般化できないからです。

 ということで上の記事に戻るのですが、軟鉄ならこれらの砲弾を使えば破壊するのは造作もないと思います。ただ撃ち抜けるかというと疑問があり、むしろ割るのではないかと考えます。あくまで素人考えですが…。

 ただ、支那というか東側の戦車砲弾は西側のそれより一段落ちると云うのが世間一般の評価でして、本当にこれくらいの威力があるかは眉唾ものですが(苦笑)。湾岸戦争でも米軍のM1A1エイブラムス戦車の120㎜戦車砲は2000mの距離からイラク軍T‐72戦車の正面装甲を紙のように貫きましたが、一方イラクT-72の125㎜滑腔砲はゼロ距離射撃でもエイブラムスの正面装甲を抜けなかったそうです。もちろんこれには理由があり、ソ連(当時)はイラクに威力のあるタングステン弾芯のAPFSDSを供与せず普通の鋼鉄弾芯の砲弾を渡したそうですからこうなるのも仕方ありまりません。イラク軍の砲弾はエイブラムスの装甲に当たって砕け散りました。

 支那戦車砲弾がロシア(ソ連)の3BM48くらいの威力があれば上の条件で600㎜の貫徹力があります。ロシアはこれ以降も新型砲弾を開発したと思いますから現在ではもっと高威力の戦車砲弾を持っているかもしれません。


 どちらにしろ、支那の記事は条件と装甲板の材質を書かなければ話になりませんね。