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M116パックハウザー75㎜空挺砲

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 第2次大戦中のアメリカ軍が使用した歩兵砲・山砲です。もともとは駄載により運用する山砲として開発されました。総生産数5288門。米軍にしては生産数が少ない気がしますが、米陸軍歩兵師団は砲兵連隊の主力榴弾砲であるM2 105㎜榴弾砲の砲身を短くして軽量化したM3を開発し歩兵連隊の歩兵砲として使用したため歩兵砲としてはあまり普及しなかったからです。

 とはいえ、山岳地での使用を前提とする山岳師団や上陸作戦時重装備を携行できない海兵隊、そして何より空挺降下前提の空挺師団にとっては650㎏しかなく軽量のパックハウザーは重宝されました。日本軍で言えば九二式七糎歩兵砲や九四式七糎半山砲に近いと思いますが、1945年にはその海兵隊ですら砲兵連隊の装備としては105㎜榴弾砲と155㎜榴弾砲に更新されました。

 戦後自衛隊にも供与され150門が使用されています。蒋介石の国民政府軍はアメリカから762門のパックハウザーを供与され国共内戦を戦いました。その蒋介石軍が台湾に叩き出され中共軍に鹵獲されたパックハウザーはベトナム共産党軍に供与されます。ディエンビエンフーの戦いにおいて不可能と思われた山岳地帯を踏破して配備されたベトミン軍のパックハウザーによって攻撃を受けたフランス植民地軍は驚いたそうです。ベトミン軍は日本軍の九二式歩兵砲も使用したそうですから、皮肉なことに日米の歩兵砲が肩を並べて戦ったわけです。もっともフランス軍はろくな兵器も持たないベトミン軍を舐めていて陣地構築もおざなりだったそうですから負けるべくして負けたのでしょう。