鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

電磁パルス兵器は現代戦を変えるか?

 ゲームの話で恐縮ですが、PS3FPSゲームコールオブデューティモダンウォーフェア2』でウラジミール・マカロフ率いる超国家主義者に乗っ取られたロシア軍の侵略を受けるアメリカ。特殊部隊タスクフォース141のプライス大尉は、ロシア軍の原潜基地を乗っ取り戦略ミサイル原潜からアメリカ本土に向けSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)2発を発射します。

 味方は自殺攻撃かとプライスを非難しますが、彼の真意は別のところにありました。ニューヨーク・ワシントンという米本土東部の重要拠点はロシア軍に制圧され米軍は劣勢を強いられていました。プライスは、核ミサイルを高高度爆発させることで一時的に電子機器を使用不能にし、ロシア軍に反撃しようと意図します。

 その頃地上で戦っていた第75レンジャー連隊のラミレス上等兵は、友軍の攻撃ヘリが高空での閃光の直後墜落し、自らの愛銃コルトM4A1カービンのレーザー照準器も使えなくなった事に気付きます。米ロのヘリはことごとく墜落し戦車も行動不能になっていました。呆然とするラミレスですが、上官フォーリー軍曹は分隊を纏め有視界戦闘の肉弾戦となったワシントン地区に突入していくのです。



 ゲームなので誇張した表現にはなっていますが、これは高高度核爆発と言って高層大気圏で核爆発を起こし、発生した電磁パルス(EMP)を地上に降り注がせ電子機器を破壊するという攻撃方法です。

強烈なガンマ線が高層大気と相互作用し、広域にわたってコンプトン効果を発現させ、地磁気の影響で地球の中心に向かう電磁波の流れを発生させる(ウィキぺディアより)

 言わば、爆発点を中心とする半径数キロから数十キロの範囲を巨大な電子レンジの中のような状況に置くというものです。


 何でこれを書いたかというと、数週間前チャンネル桜の討論で陸上自衛隊の方面軍総監まで務めた退役陸将(旧軍なら大将クラス)が「軍事機密だから詳しい事は言えないが…」と前置きしながら語った内容が、まさに非核性のEMP(電磁パルス)兵器、HPM(高出力マイクロ波)兵器に関してだったからです。

 私は知識としては持っていましたが、その退役陸将の発言で米軍は数年以内に実用化する目途がついたと聞いて衝撃を受けています。まだ10年以上先の話だと思っていたので…。この発言は、現在のMD(ミサイル防衛)は本当に日本を守れるのかという議論の中で出てきました。退役陸将や、海上自衛隊で潜水艦隊司令まで務めた退役海将(これも旧海軍なら最古参の中将か大将クラス)という軍の高官が参加した地上波では絶対にできないハイレベルな軍事討論の結論では、完璧な防衛はできないということでした。

 それに代わる対策として米軍はすでに動き出しているそうです。その他、レールガン、指向性エネルギー兵器(レーザーとか)の研究でもアメリカは一歩先んじています。その退役陸将はこれらの兵器には強力な電源が必要で、日本はその技術では世界でもトップクラスなので早急に研究を開始し一刻も早く実用化すべきだと述べておられました。

 現場の軍人は危機感を持っているのに、予算を決める政治家や官僚の軍事音痴ぶりには絶望します。常識の欠片もありません。日本ではTHAAD配備まで話が出ていますが、EMP兵器、HPM兵器を本気で論じられた事があるでしょうか?防衛白書にちらっと書いてあった記憶はありますが、緊急性は全く感じられずこういった研究もしているよという軽いニュアンスだったと思います。

 日本の国防を考えたら、敵上陸に備えた対地攻撃能力(スタンドオフが望ましい)は当然としてEMP、HPM兵器の導入を真剣に研究すべきでしょう。私もまだまだこの分野の知識は不足しているので、早速電磁波の本をアマゾンで注文したところです(笑)。