鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

徴兵制で集めた兵士は役立つか?ウクライナ戦争の場合

ロシア、5月9日に宣戦布告か 英国防相が見解示す


 1991年に起こった湾岸戦争は日本のテレビでも連日報道され国民に大きな衝撃を与えました。テレビの報道番組では自称軍事専門家が雨後の筍のように出てきて解説していましたが、私のような軍事をちょっとかじった程度の素人でも分かる間違いが多くとても信用できないと思いました。名前を挙げて恐縮ですが例えば岡部いさく氏。あの人はただの軍事オタクで兵器の知識はあると認めますが、現代戦の軍事知識はほぼなかったように思えます。あるいは逆神として予測がことごとく外れる神浦元彰氏、狂った左翼思想で現実認識が間違っているのに妙に自信満々な田岡俊次氏などおかしな人が大半。まともな専門家は江畑謙介氏など数えるほどしかいませんでした。

 岡部いさく氏が米地上軍の反抗作戦でチグリス、ユーフラテス川沿いに北上する従来の進軍路ではなく、サウジ国境から砂漠を突っ切ってイラクの首都バクダッドを直接叩く作戦を自信満々に解説している所を見て頭が痛くなりました。他の専門家やテレビ局スタッフの誰一人補給の問題を突っ込まないんですから恐ろしい。兵器オタクなら米軍のM1A1エイブラムス戦車がガスタービンエンジンで燃料ドカ食いする点で気付くべきだったんですがね…。

 私もどうして米軍が一見無茶に見える作戦を選択したか当時から謎だったんですが、後年関連書籍を読んで氷解しました。米軍は丸々一個空挺師団を使って砂漠に補給拠点を設け、防衛にあたらせたのです。機甲部隊の進軍に合わせ空挺師団は輸送ヘリで先回りし補給拠点を次々と設けていったそうです。当然イラク軍の妨害がありますから、空挺師団の攻撃ヘリで排除、そのうち地上から機甲部隊が到着し、イラク軍はどうにもならなくなって撤退していきました。

 そして今回のウクライナ戦争。ここでも相変わらず自称軍事専門家ばかりテレビに出ています。よく防衛何とか研究所の人が解説していますが、あれは軍事作戦の専門家ではなく防衛政策の専門家なんだと思います。キーウ近郊にロシア軍の車列が何キロにも渡って続いている画像を見て「ロシア軍総攻撃の準備か?」と宣ったくらいですから。あれじゃ戦争の本質は分かりませんよ。

 湾岸戦争時との違いはネットがあること。ネット動画には自衛隊元幹部の方が出演し解説しています。やはり軍事のプロは違いますね。ロシア軍車列を見て兵站維持に苦しんでいると見たのも彼らですから。ウクライナ空軍が活動している理由もNATOポーランドの国境沿いにAWACS早期警戒管制機)を飛ばして情報をウクライナ側に流していることも指摘しました。中には、NATO規格にアビオニクスを改修した旧東側のMiG-29を直接管制してロシア空軍機を叩いている可能性も指摘されています。という事はすでにMiG-29は早くからウクライナに供与されていたことにもなりますが…。

 その中で元中部方面総監の山下裕貴陸将だったと思いますが、
「キーウで敗退したロシア軍部隊は再編成しても負け癖がついているので使い物にならない」
「前線で消耗した部隊に新たな徴集兵を補充しても戦力化するには何か月もかかる」
など、実際に軍務経験がある者でないと分からない指摘があり目から鱗でした。

 また山下陸将は、「現代戦はプロの軍隊でないと通用しない。徴集兵は少なくとも10回以上戦闘経験を積まなければ戦場での立ち回りが身に付かず、戦死するのはだいたい戦闘経験の少ない兵士」と発言されていました。逆に戦闘経験が豊富になると戦場でどう行動すれば良いか体感しているので戦死しにくくなるのだそうです。

 という事は、5月9日の対独戦勝記念日プーチンウクライナに宣戦布告し大動員をかけて戦争を一気に勝利に持って行こうとしても失敗する可能性が高い。おそらく山下元陸将が言うように10回の戦闘経験を積む前に戦死するのが関の山なんでしょう。ただでさえ士気の低さが言われているロシア軍ですから、大動員した徴集兵が多数戦死したらさすがのプーチン政権もぐらつくと思いますよ。

 皆さんは今後のウクライナ戦争の展開、どうなると予想しますか?