鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

湾岸戦争からウクライナ戦争への変化

 今の若い人は知らないでしょうが、1990年に起こった湾岸戦争は衝撃でした。リアルタイムで映し出された首都バクダッド空襲の映像。暗闇の中で米軍のミサイルや誘導爆弾の攻撃で炎上するビル群。反撃するイラク軍高射機関砲の曳光弾。米軍戦闘機の発射した空対地ミサイルがイラク軍戦車に命中する画像を見て「テレビゲームみたい」と発言した不謹慎なアナウンサーも居ました。

 私は当時から軍事に関心があったので戦争の推移を注意深く見守り、その後関連書籍を何冊も読みました。現代の戦争はまず巡航ミサイルステルス爆撃機の誘導爆弾で徹底的な空爆を行い敵の指揮中枢やレーダー網、通信施設を破壊します。それがある程度片付いたらようやく前線に展開する敵部隊を叩きます。湾岸戦争ではそれが一ヶ月以上続いて、ようやく地上戦です。

 私はテレビで解説されていたアメリカを中心とする多国籍軍が砂漠を突っ切って直接バクダッドへ向かう進撃路を見て、兵站がもつのか心配していました。自称軍事専門家でそれを指摘した者は、私の記憶では皆無だったと思います。もしかしたら江畑謙介さんは指摘されていたかもしれませんが…。

 あとで湾岸戦争の関連書籍を読んで謎が解けたんですが、米軍は丸々1個空挺師団を使って進撃路の要所要所に一大補給拠点を設置。そこにヘリや輸送機のピストン輸送で補給物資を送り込んでいたのです。空挺師団の戦闘ヘリは、敵機甲部隊を叩くより、その拠点防衛が主任務だったくらいでした。これはアメリカのような超大国で物量で押し切るような国でしかできない戦術だったと思います。

 そして今回のウクライナ戦争。ここでも相変わらずテレビで兵站について語る自称専門家は皆無。防衛省何とか研究所の人ですらまともな補給問題を語れないんですから、日本の国防は大丈夫か?と本気で心配しました。戦争前、自衛隊OBの高級将官YOUTUBEで軍事合理性を欠くからウクライナへのロシア軍侵攻は無いと言っていたのも今となっては理解できます。

 実際、ロシア軍はまともな兵站も準備せず戦争を始めたため進撃がストップしています。ウクライナベラルーシの国境付近にはヨーロッパ最大の湿地と言われるポレシエ地方があります。これがあるために第2次大戦時ドイツ軍は南北の連絡が出来ず、北方軍集団、中央軍集団南方軍集団と三つの進撃路に分けたくらいです。地表が凍結している冬の間は大丈夫でも、雪解けで泥濘の季節になると数少ない道路以外はとても通れなくなります。テレビでロシア軍の長大な車列が続いている映像を見て、総攻撃の準備と解説している馬鹿がいましたが、あれはそこしか通れないから渋滞しているだけだと思います。そして地形を知り尽くしているウクライナ軍は戦闘車両ではなく補給・輸送車両を叩いて立ち往生させる戦法を取っています。

 これを見ると、いくら近いとはいえベラルーシからキエフを直接叩く戦法は初めから無理があったと言えます。軍事常識からいえば、親ロシア派が実効支配するドンバス地方の完全占領とクリミア半島を結ぶ回廊の確保くらいが現実的な作戦目標だったのでしょう。しかもウクライナ全土を占領するには最低50万人、理想的には80万人以上の兵力が必要だと言われます。わずか20万人程度の現状のロシア軍兵力では物理的に不可能。テレビでは自称軍事専門家は誰も指摘していませんがね。

 ただ唯一の希望は、ネットがあることです。YOUTUBEには織田(おりた)邦男さんや伊藤俊幸さんはじめ元自衛隊高級将官が多数出演されています。この人たちはさすがに軍事の専門家だけに兵站問題に関しても分かりやすく解説しています。ですから戦争の本質を知るためにはテレビを見るだけでは駄目で、ネットの動画を見て自分で学ぶしかありません。

 最近YOUTUBEを見て目から鱗だったのは、兵站は単に武器弾薬の補給だけの問題ではないという元陸将補(昔の少将)の方の解説でした。戦死者や戦傷者の後送、部隊の交代も大きな要素なんだそうです。部隊は戦闘を続けると損耗するので予備部隊と交代しなければならないし、新たな部隊を投入するにしても前線の部隊には担当区域があるので、傷ついた部隊との交代は一旦その部隊を後方に下げる必要があります。広い平原があるウクライナ東部ならそれが可能だが、わずか数本の道路しかないポレシエ地方では不可能。ゆえにベラルーシからの南下は愚策中の愚策という事でした。

 本当にネットがあって良かったですよ。その方はロシア軍の化学兵器攻撃の可能性に関しても、もし攻撃するならロシア軍兵士全員に防護服を準備する必要があるのでその兆候は事前に分かるとのことでした。逆に自軍の被害もお構いなしに化学兵器を散布するなら士気が崩壊しまともに戦えなくなるだろうというのも納得しました。

 テレビが素人の自称専門家ばかりを出演させ、元自衛隊幹部を頑なに出演させないのは戦争の実態が国民にばれるからなんでしょうね。まともな解説を見れば、憲法9条では国を守れないこと、核兵器が無いとならず者国家に侵略され放題になることが国民に知られますからね。その意味で、マスゴミが特亜やロシアの手先であることは証明されると思います。

 我々日本国民は、何が正しく何がおかしいか自分で考え判断する力を身につける必要があります。平和ボケのままだとウクライナのようにならず者国家に侵略されますよ。皆さんはテレビのウクライナ戦争報道、どのような感想を持たれていますか?