【考古学】古代シナゴーグで発見された“場違いな”もの 躍る男や武装ゾウ、古代の大王のモザイク画に考古学者も困惑
聖書に書かれていようといまいと中東地域に戦象は古代からいたと私は思います。この遺跡がいつの時代のものか知りませんがこのシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)にモザイク画を描いた人は厳密に宗教にとらわれず自由に描いたんでしょうね。
中東地域で象はもちろん自然には存在しませんが、古代インドでは少なくともアーリア人侵入後(紀元前1500年前)戦に象を使用していたことは確実です。そしてインド洋交易は少なくとも紀元前からギリシャ人やフェニキア人などによって動かされていました。アラビア半島西岸のメッカにしてもメディナにしてもちょっと内陸にはありますが南インドからローマに至る古代の海のシルクロード交易の中継地点として繁栄しました。
ということは交易品の中にインド象がいたとしてもおかしくありません。船による輸送が困難ならそれこそメッカやメディナを通る陸上の隊商路を利用した可能性もあるし、普通にペルシャを通じて手に入れたかもしれません。これはあくまで私見ですが、最初に中東地域に戦象を導入したのはアッシリア帝国の可能性が高い。その後のアケメネス朝ペルシャは軍の主力として戦象部隊を編成していました。ギリシャ側の資料にもはっきり出ていますし。
アレクサンドロス大王没後のディアドコイ(後継者)戦争の時も、マケドニア諸侯の軍の主力は戦象部隊でした。おかげでフィリッポス2世、アレクサンドロス3世(大王)と2代にわたって精緻に練り上げられたハンマーと金床戦術は退化してしまいましたが…。プトレマイオスにしてもアンティゴノスにしてもセレウコスにしてもアレクサンドロス大王ほどの将器ではなかったということでしょう。