鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

四式中戦車チト

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 三式中戦車を書いた勢いで、戦後戦車まで一気に紹介してしまおうかと思っています(笑)。今回は日本陸軍が切り札として期待した四式中戦車です。
 
 ボフォース社製75㎜高射砲を参考に開発した四式七糎半高射砲を再設計し、後座長の短縮などを改良した五式七糎半戦車砲を搭載しています。後座長って聞きなれない言葉だと思いますが、大砲というのは砲弾を発射するとその反動で砲身も後ろに下がります。それを駐退復座機の油圧の力で元の位置に戻すのですが、後退する距離を後座長と言います。野砲なら問題ないのですが、狭い戦車の中だと高速で後退する砲身は危険で、直撃したらおそらく脳挫傷で即死します。ですからこの距離をなるだけ短くしなければならないのです。
 
 五式七糎半戦車砲の装甲貫徹力は一式徹甲弾で500m/112㎜、1000m/100㎜でした。1500mでの資料がないので推定ですがこれなら1500mの距離でも当たりどころによってはM4シャーマンを撃破できます。ただし本土決戦になれば投入されることが確実なM26パーシングだと砲塔前面114㎜、車体前面101㎜、しかも傾斜装甲で避弾経始もあるので300m(貫徹力118㎜)に近づいても撃破は難しかったでしょう。ゼロ距離射撃でなんとか。
 
 四式は、装甲も砲塔前面75㎜、車体前面75㎜と日本戦車としては頑張った方ですが、M4シャーマンの76.2㎜52口径M1戦車砲のM62APC弾(被帽付徹甲弾)なら1828m(2000ヤード)の距離から撃破できます。ちなみにM62APCの装甲貫徹力を示すと457m/93㎜、914m/88㎜、1371m /82㎜、1828m/75㎜。
 90㎜50口径戦車砲装備のM26ならもっと遠くからでも一撃だったでしょう。ただし太平洋戦域で米軍が多く使用したシャーマンの75㎜37.5口径M3戦車砲のM61APCはこれより装甲貫徹力が劣り500mで68㎜、1000mで60㎜にすぎませんからこれなら四式はかなり近距離まで耐えられそうです。
 
 それでも大戦中の日本戦車の中ではピカイチの性能。同じ戦車砲を搭載した五式中戦車が結局完成しなかった事から見るとギリギリではあっても完成した事は評価されます。生産数はわずか6両。そのうちの1両がどうやら浜名湖(の北にある猪鼻湖)に沈められたらしいというのはこの前ニュースになっていましたね。四式中戦車に関する資料は少ないので是非引き上げてほしいと思います。
 
 ちなみにこれは与太話ですが、1両(あるいは数両)が朝鮮戦争の時半島に渡ったかもしれないとの事。といってもシャーマンやパーシングを持つ米軍が使うはずないですから韓国軍が使ったのか?北のT-34/85と戦闘したかもしれませんね。おそらく一撃でやられたでしょうが…。
 
 
【性能諸元】
 
全長:6.34m
全幅:2.86m
全高:2.67m
全備重量:30t(32tという説もあり)
速度:45km/h
行動距離:250km
武装:五式七糎半戦車砲(75㎜L56。携行弾数65発)
    九七式車載重機関銃(7.7㎜)×2
主砲初速:850m/s
装甲:砲塔前面75㎜
    車体前面75㎜
乗員:5名