鳳山雑記帳はてなブログ

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三式中戦車チヌ

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 最近、日本陸軍関連記事が多いですが今回は三式中戦車です。日本の戦車にチハとかチヌとか別名がついていますが、最初の「チ」とは中戦車の意味です。軽戦車なら「ケ」砲戦車なら「ホ」となります。次のハとかヌは設計順をイロハで表したもの。
 
 あまり戦史に詳しくない方は三式中戦車の写真を見て、日本にもまともな戦車があったのだと感心される事でしょう。対戦車砲としても定評のあった九〇式野砲を戦車砲化した三式七糎半戦車砲を搭載しています。75㎜・砲身長38口径で初速668m/s。装甲貫徹力は一式徹甲弾を使用した場合1000mで70㎜、500mで80㎜。これがタングステン・クロム鋼弾の特甲なら1000mで85㎜、500mで100㎜でした。
 
 攻撃力は今までの非力な日本戦車と比べると段違いでまずまずの性能でしたが、問題は防御力です。実は陸軍の本命は長砲身75㎜砲搭載の四式中戦車でしたが、開発が遅れたため過渡的措置として一式中戦車の車体を流用し75㎜戦車砲を搭載できるよう砲塔を大型化したものが三式中戦車だったのです。前面装甲50㎜、砲塔前面装甲50㎜。これではライバルのM4シャーマンの75㎜砲は2000m先からでも一方的に三式を破壊できます。これに対し三式は500mまで接近しなければシャーマンを破壊できないのです。
 
 しかしご安心召されい。満洲や北支の大平原ならともかく2000m先まで見通せる戦場はアジアにはそう多くありません。おそらく本土決戦でも500m以内の戦いになるはずですから私はかなり通用したのではないかと考えます。実際、南洋のジャングルの戦いでは一式機動四七粍速射砲(対戦車砲)で撃破されたシャーマンの残骸が数多く残っています。ゼロ距離射撃なら47㎜でも抜けるのです。三式中戦車とほぼ同じ性能の九〇式野砲を搭載した一式砲戦車は、比島決戦サラクサク峠の戦いで数多くのシャーマン戦車を撃破しています。
 
 シャーマン戦車との戦いはサラクサク峠の戦いと同様待ち伏せ攻撃になりますからこれで十分なのです。シャーマンとの機動戦などあり得ない状況を想定してはいけません。そう考えると三式中戦車なかなかのもんでしょう?(笑)
 
 ただ三式は本土決戦に備えて温存されましたから実戦には参加していません。総生産数は諸説ありますが最近私が読んだ「戦車機甲部隊」(別冊歴史読本 戦記シリーズ)によると昭和19年度の生産数55両、昭和20年度は8月までですが生産が軌道に乗ったこともあり111両で総計166両完成したそうです。妙に具体的な数字でしかも従来説の60両より多いのでこちらを採用します(笑)。
 
 166両あれば、本土にいる戦車師団(第1、第4)の戦車連隊のうち半分くらいは三式中戦車で更新できそうです。けっこう日本も頑張っていたんですね♪
 
 
【性能諸元】
 
全長:5.731m
全幅:2.334m
全備重量:18.8t
速度:38.8km/h
行動距離:300km
主砲:75㎜L38砲(携行弾数70発)
武装:7.7㎜重機関銃×1
装甲:車体前面50㎜
    砲塔前面50㎜
乗員:5名