鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

「大砲鳥」(カノーネンフォーゲル Kanonenvogel) Ju87Gスツーカ

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 スペイン内戦でデビューし、大戦初頭電撃戦の空の主役として活躍したユンカースJu87スツーカ急降下爆撃機。しかし、連合軍の本格的反攻が始まると圧倒的な敵の制空権下では活躍の場はありませんでした。
 
 空軍は、旧式化がはっきりしたJu87のエンジンをより強力なユモ211Jに換装し37㎜機関砲を主翼下に2門搭載することで対戦車攻撃機(駆逐機)としての使用を考えます。その試みは大成功で、ルーデル閣下(スツーカのエース、9機撃墜、戦車500両撃破、車両800台撃破)の活躍もあり特にソ連軍に恐れられました。
 
 37㎜のような大口径機関砲は普通当たらない物ですが、天才ルーデルはこれをほぼ百発百中させたそうですから恐ろしい!戦車の装甲は上面は薄いのですが、それにしても動画を見れば凄まじい威力です。
 
 ちなみにルーデルは、敵であるスターリンから「ソ連人民最大の敵」と非難されソ連軍に忌み嫌われます。ソ連軍にとっては疫病神以外の何ものでもなかったのでしょう。まるまる2個戦車師団分の兵力を一人で撃破したんだからそりゃ嫌われるわな(苦笑)。
 
 ここまで悪名が高まると戦後捕虜になった時虐待され殺されるものですが、ルーデルは米軍に投降しソ連には引き渡されませんでした。意外とアメリカにも隠れファンがいたのかもしれません。
 
 そして時代は下って、1982年フォークランド紛争。ルーデルはアルゼンチン空軍の顧問となって鍛え上げます。しかし機体性能の差は如何ともしがたくアルゼンチン空軍のA-4スカイホークやシュペルエタンダールは、英軍の垂直離着陸機ハリアーの前に完敗しました。イメージ的には艦船攻撃態勢にはいったスツーカに襲いかかるスピットファイアか?(笑)しかし駆逐艦シェフィールドなど少なからぬ損害を英軍に与えているのでルーデルの面目は保てたと思います。
 
 米軍の有名なフェアチャイルドA-10サンダーボルト攻撃機を設計する時、対地攻撃の第一人者であるルーデルを顧問に迎えたというエピソードもあります。その意味ではサンダーボルトはJu87Gの正統な後継者と言えるかもしれません。
 
 
 
追伸:
ちなみに動画のスツーカのパイロット、どうもルーデル本人らしいです。あの異様な命中率はどうりで…。