【中国・雲南省の山岳地帯に驚きの風景がある。険しい山肌に延々と連なる無数の水田。何万本もの畦の曲線が網の目のように重なり、稲穂のじゅうたんが波打つ。「紅河ハニ棚田」。総面積5万4千ヘクタール、国連食糧農業機関が世界農業遺産に認定した“世界最大の棚田群”である。
最大勾配75度にもなる急峻な斜面を、標高1800メートルまで切り拓いた“天空の棚田”。圧巻の光景は、いったいどんな営みによって支えられ、受け継がれてきたのだろうか?
世界一の棚田を、1300年かけて築き上げたのは、少数民族・ハニ族の人々。他民族に追われ、奥深いこの地にたどり着いた彼らは、気の遠くなるような労力で山肌を耕し、独自の灌漑技術と農法を磨いてきた。森や霧など自然を巧みに利用した棚田は、一つの巨大な循環システムでもある。
番組では、モーターハングライダーを駆使し、これまでにない壮大な美しい映像で棚田の全貌を描くとともに、秋から冬にかけ刻々と変化する表情を捉える。日本で里山が注目される今、自然と寄り添う暮らしの原点を“天空の棚田”に探る。】(NHKホームページより)
最大勾配75度にもなる急峻な斜面を、標高1800メートルまで切り拓いた“天空の棚田”。圧巻の光景は、いったいどんな営みによって支えられ、受け継がれてきたのだろうか?
世界一の棚田を、1300年かけて築き上げたのは、少数民族・ハニ族の人々。他民族に追われ、奥深いこの地にたどり着いた彼らは、気の遠くなるような労力で山肌を耕し、独自の灌漑技術と農法を磨いてきた。森や霧など自然を巧みに利用した棚田は、一つの巨大な循環システムでもある。
番組では、モーターハングライダーを駆使し、これまでにない壮大な美しい映像で棚田の全貌を描くとともに、秋から冬にかけ刻々と変化する表情を捉える。日本で里山が注目される今、自然と寄り添う暮らしの原点を“天空の棚田”に探る。】(NHKホームページより)
雲南の山岳地帯に大規模な棚田を築きその考え尽くされた素晴らしい生活システムを作り上げたハニ族とはどのような人たちか非常に興味を覚えました。
調べてみると彼らは支那チベット語族の一派でハニ語を話す人たちだそうですね。雲南省の少数民族では人口150万人で第3位。雲南の省都昆明の南、雲南の山岳地帯を発し東京(トンキン)湾に注ぐ大河、紅河流域を中心に分布しているそうです。
もともとチベット高原の遊牧民だったそうですが、民族移動の余波を受け4世紀から8世紀までに千kmの旅をして雲南地方に落ち着きました。唐代には南詔の支配を受け、元や明、清代には直接支配を受けたそうですが現在は紅河ハニ族イ族自治州となっています。
NHKスペシャルでは、ハニ族が独自に稲作を始め棚田を築いたように紹介しましたが、私はすでにこの地方に稲作・棚田の技術がありハニ族はそれを受け継いだだけだと思います。といいますのも水稲耕作は水の確保と収穫時の水はけを両立しないといけないため最初は棚田方式から始まったと考えられるからです。
ハニ族の人たちは、独自の自給自足生活を営みとても平和な社会を築いているように見えました。もちろん小さないざこざはあるでしょうが、日本のような殺伐とした事件は皆無ではないかと思いました。
物質文明で豊かになるという事は、精神の豊かさを失う事と同義なのかもしれませんね。番組の最後に、ハニ族の主婦が「子供たちや孫たちにお米を食べさせられるのが幸せ」と語っていましたが、彼女の顔は本当に嬉しそうでした。
私たちがハニ族の暮らしに戻る事はもはやできませんが、せめて精神の豊かさは彼らから学びたいですね。