知られているようで知られていないロシア軍。北方領土を巡っていつ戦争になるか分からないと思いますのでその実態を知っておく事も無駄ではないでしょう。
実は最近、「世界軍事情勢」(史料調査会編・原書房)なる本を手に入れましてそれをもとに簡単に解説しようと思います。何でこの本を買ったかというと、本当はミリタリーバランスという英国の国防戦略研究所が毎年発行している世界各国の軍事力について解説してある報告書が欲しかったのですがアマゾンで検索しても見つからなかったためその代替措置でした(苦笑)。
ミリタリーバランスの日本語版って昔は簡単に日本のちょっと大きな書店で手に入ったんですが(確か1980年版は持っていました。紛失しましたが…)、今は手に入らないんでしょうか?それとも単にアマゾンで扱ってないだけとか?本書はミリタリーバランスに比べるとかなり落ちますが、主要国の軍事情勢に関してはまあまあ記述があります。
前置きはこのくらいにして、本題のロシア軍です。ロシア連邦軍は大きく分けて陸海空軍と戦略軍に分かれます。総兵力は2009年時点で102万7千人。陸軍39.5万、海軍14.2万、空軍16万、戦略軍8万、支援部隊25万からなります。(予備役2000万人!)
ソ連時代の大規模軍から見ると意外と少ないような気がします。予備役を増やして軍のスリム化を図ったのでしょう。
それでは個別に見て行きましょう。
◇「戦略軍」
ミサイル防衛部隊、宇宙軍。海軍から移管した戦略ミサイル原潜部隊も指揮下に収める。
①戦略ミサイル(ICBM)430基
②戦略ミサイル原潜(SSBN)15隻
③戦略爆撃機90機(Tu160×16、Tu95MS6×32、Tu95MS16×32ほか)
◇「海軍」
①空母×1(0)
②巡洋艦×5(1)
③駆逐艦×15(7)
④フリゲート×32(9)
⑤コルベット×50(13)
⑥潜水艦×69(22)
ソ連以来の潜水艦戦力重視、そして日本を含めた極東重視が見て取れますね。
◇「空軍」
戦略(長距離)航空部隊、戦術空軍部隊、航空輸送部隊、ヘリコプター部隊に区分される。
①戦略航空部隊 Tu22M×8、Tu22M/3MR×116
②戦術空軍 戦闘機725機(MiG31×188、MiG29×226、MiG25×30、Su27系×281)
地上攻撃機800機(Su25×241、Su24×550、Su27IB×9ほか)
③航空輸送部隊 輸送機293機
④ヘリコプター部隊 1520機
◇「陸軍」
全土を6軍管区と特別軍管区に区分。2009年陸軍8個師団体制から北方領土警備の第18機関銃・砲兵師団を残し、戦車旅団×5個(そのうち予備1個)、自動車化狙撃旅団×47個(そのうち予備は14個)、空中襲撃旅団×3個、特別任務旅団×8個、ロケット・砲兵旅団×28個他に改編。部隊をスリム化し、機動性を増して緊急展開能力を高めている。
①戦車23000両(T90、T80、T72、T64、T62、T55)
②火砲30000門(牽引砲12765門、自走砲6000門、多連装ロケット砲4000基ほか)
数(39.5万)に比べて戦車と火砲の保有数の多さに驚かされます。西側標準の編制ではだいたい20万の兵力で戦車1000両、火砲1000門くらいが普通です。兵力40万弱で西側標準の10倍以上!恐るべき数です。
おそらくソ連時代の数をそのまま残しているのでしょう。予備役2000万人ですから有事には巨大な陸軍ができる計算です。戦車もT90、T80以外は箸にも棒にもかからないとはいえ数で押されるのは恐怖でしょう。T64に関しては微妙。実戦に参加していないのでもしかしたらT72より高性能(のはず)。
旅団中心の編成は動きやすい=展開が早い=他国へ軍事干渉しやすいと周辺諸国にとってはいささか物騒な陸軍ではあります。
なるほどよく分かりました。部隊の構成などをみるとまだまだ改編途上という感じはしますが決して侮れない恐るべき力を持っている事が理解できます。日本もロシア連邦軍の実力を十分研究し遅れる事がないようにしなければなりません。
次は中国人民解放軍を調べてみますかね♪