

第2次大戦中、ドイツ装甲擲団兵(機械化歩兵)の足となった装甲兵員輸送車Sd.Kfz. 251。基本の機関銃搭載型から、火力支援用の75㎜野砲搭載タイプ、37㎜~75㎜対戦車砲搭載タイプ、対空機関砲搭載タイプ、迫撃砲搭載タイプなど現在のストライカー装甲車ファミリーにも匹敵するようなバリエーションの豊富さが特徴です。
大量生産を前提とする装甲兵員輸送車ながら、ドイツらしく凝った作りで千鳥転輪、ある程度の避弾径始も考慮したボディを持っています。
一方、アメリカは大量生産を最優先させ避弾径始など全く考えずキャタピラ部も手抜きのような構造のM2/M3ハーフトラックを登場させました。
戦車に随伴して危険な最前線に移動するのですから、ある程度性能は必要でしょう。しかし多くの歩兵を戦場に送りだすために大量の兵員輸送車が必要だという目的を第一にするなら、性能に目をつぶってもより大量生産に向くM2/M3の方に軍配を上げざるを得ません。
実際生産数もSd.Kfz. 251が15252両に対して、M2、M3合わせて28000両以上、全ファミリーを含めると60000両以上にもなるといいます。レンドリースだけでも11000両だそうですから恐るべき生産数です。
実際、戦前の自動車に関する意識もまだまだ高級な乗り物だったドイツに対し、アメリカではごく一般の乗り物でしかありませんでした。