先日、YouTubeで海外(たぶんアメリカ)の歩兵戦闘車ベスト10という番組を見ました。ところが10位でいきなりハンヴィーが出てきてのけぞりました(苦笑)。ハンヴィーは汎用車ですよ。高機動多用途装輪車両の事でジープの後継になるもの。ようするに日本語訳した人が間違っているのであって、おそらく戦闘に使用される軍用車両ベスト10というのが正しい訳だったのでしょう。実際1位も装甲兵員輸送車(APC)のM113だったですし。
歩兵戦闘車とはIFV(Infantry Fighting Vehicle)のことです。IFVとAPCの違いは、APCが歩兵の輸送に特化し戦闘は苦手であるのに対し、IFVはある程度の戦闘もこなす車両です。歩兵は搭乗したまま戦闘か、下車戦闘をします。実際、湾岸戦争では米軍のM2/M3ブラッドレーはTOW対戦車ミサイルで多数のイラク軍戦車を破壊しています。
その中で、ソ連のBMP-1が6位になっていました。BMPシリーズと言えばソ連を中心に東側諸国で多数採用されたソ連を代表するIFVです。現在ロシアでもBMP-1が3000両、BMP-2は不明、BMP-3で550両使用されています。
いかにもアメリカの番組らしく、最初車高が低い(被弾確率が低い)、重武装などと褒めまくっていたんですが、最後にデイスってました。BMP-1は歩兵が乗り降りする後部ハッチまで分厚い装甲で覆われていて凄いと褒めながら、これが最大の欠点だと指摘したんです。それは装甲が分厚いのではなく、車高を極端に低くしたため車内スペースに余裕がなく、しかたなく後部ハッチに燃料タンクを設けたとのこと。
中東戦争などで後部に被弾したBMP-1は、火災を起こし乗員が脱出できなかったため全員焼け死んだそうです。T-72の弾庫が砲塔リングの直下に位置し、被弾すると誘爆して砲塔が吹き飛び多国籍軍兵士からビックリ箱と揶揄されたのと同様、共産圏では軍の要求仕様を優先し兵士の命が軽いのでしょう。
ただ、ソ連の軍事ドクトリンでは戦車と歩兵戦闘車を多数揃え全縦深を同時攻撃するので、個々の性能はそこそこあれば十分だったのでしょう。兵士の命が最優先の西側を基準にして東側を批判するのはお門違いだと思います。
面白いのは、韓国もロシアとの貿易で代金の代わりに現物のBMP-3を70両貰い装備している事。他にもT-80Uが35両ほど。北朝鮮もBMP-1を200両持ってますから、地上戦になった場合遠くから区別がつくかどうか?アメリカ軍が間違えて韓国軍のBMP-3を空爆するかもしれませんね。ミスと言いながら、わざと攻撃するかも♪