鳳山雑記帳はてなブログ

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幕末維新期に使われた銃の性能

 最近幕末から戊辰戦争にかけての各藩の兵備に興味を持って調べているんですが、ネットでちょうどよい資料を見つけたので嬉しくなって紹介したくなりました。

 ゲベール銃と言うのは火縄銃に毛が生えた程度の性能でして、銃身にライフリングも施されておらずマッチロック式(火縄で撃発する方式)ではなくフリントロック式(燧石式)やパーカッションロック式(雷管式)で撃発する発射方式です。それでも西洋の情勢に疎い藩(東国に多かった)は、新式銃として有難がったそうです。

 ミニエー銃は同じ前装式ながら銃身にライフリングを施した銃で、弾丸も椎実状で命中率と射程距離が飛躍的に伸びました。四境戦争(幕府の第2次長州征伐)で長州藩兵が主力として使ったのがミニエー銃で、火縄銃やゲベール銃で武装した幕府軍が長州軍に歯が立たなかったのも理解できます。その上、長州軍は村田蔵六大村益次郎)の指導で、当時としては異様な伏せ撃ちをしていたわけですから、これじゃ勝負になるはずもありません。

 スナイドル銃は、後装式の新式ライフルとして日本にもたらされました。画期的な金属薬莢で信頼性も高く射程も長いため薩摩藩長州藩はこれを重用します。ただその分値段が高く数をそろえられなかったのが難点でした。

 スペンサー銃は当時最新鋭のレバーアクションライフルですが、過去記事で書いた通り弾丸の威力が弱く軍用ライフルとしては採用されませんでした。戊辰戦争でも幕府歩兵隊や佐賀藩など一部が装備していただけです。

 結局明治新政府はスペンサー銃ではなくスナイドル銃を制式ライフルとして採用します。西南戦争で新政府軍が使った銃がスナイドル銃でした。

 幕末に詳しい方なら、フランスのナポレオン3世から幕府に贈られた画期的なボルトアクションライフルであるシャスポー銃があるではないかと指摘されると思いますが、高性能な反面、唯一の欠点である紙薬莢採用で高温多湿な日本ではしばしば故障したと言われます。

 ただシャスポー銃の構造を参考にして、陸軍火器専門家村田経芳少佐が日本初の国産ボルトアクションライフル村田銃を開発したんですから役に立ったと思います。ちなみにフランス本国でもシャスポー銃の欠点は承知しており、紙薬莢を金属薬莢に改造したグラース銃を開発します。村田少佐が参考にしたのはグラース銃の方でした。

 幕末から戊辰戦争期に使われた各銃のうちスナイドル銃が一番コストパフォーマンスが高かったと言えそうですね。