鳳山雑記帳はてなブログ

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今回のハマス大規模テロ、モサドは把握していたのか?

 モサドと言えば、イスラエルの誇る情報機関で世界有数の優秀な組織です。ナチスの残党狩りや中東戦争における情報収集でイスラエルの国家存立に多大な貢献をしました。

 ところが、その優秀なモサドが今回のハマスによる大規模テロの情報をどうして掴めなかったのか世界中から疑問が上がっています。組織の劣化、イスラエルの政治自体がリベラル化し軍隊や情報機関もそれに伴って弱体化したのではとも言われます。日本の現状を考えると、リベラルが力を持つと軍隊を含むあらゆる政府組織が弱体化するのは世界的傾向みたいです。

 ただ、私はモサドの問題よりモサドの情報を生かしきれない政権中枢の問題のような気がします。というのも第4次中東戦争の事例があるからです。モサドはエジプトやシリアが奇襲攻撃する兆候をつかみ政府に情報を上げていたそうです。ところが政府は「第3次中東戦争でぼろぼろにやられた中東諸国がイスラエルに戦争を仕掛けるはずがない」という楽観論が主流でモサドの情報を信じなかったそうです。そして油断しアラブ諸国の開戦奇襲でイスラエルは多大な損害を受けました。最終的にはイスラエルの軍事力が巻き返し勝利に終わりましたが、あの時の教訓が生かされていないように感じるのです。

 私は今回もイスラエル政権内に平和ボケがあったように思えます。というのも第4次中東戦争では痛い目に遭ったものの、その後の紛争ではイスラエルの圧勝で中朝諸国を舐めていた節があります。ハマスヒズボラなどテロ組織の攻撃はありましたが、その背後にあるイランやシリアは本格的にイスラエルに戦争を仕掛ける能力も度胸も無いと甘く見ていたのでしょう。

 実際、中東でイスラエルと五分に戦える国はエジプトとトルコしかありません。その最大の敵エジプトとは和平を結んだし、トルコはそもそもNATOに加盟しているので戦う事も無い。そういう安心感が平和ボケに繋がったような気がします。モサドが全盛期から衰えたのは事実かもしれませんが、今回ハマス暴発の情報は政府中枢に上げていたような気がします。ネタニヤフ政権がそれを本気でとらえなかったのが今回の悲劇になったように見えるのです。

 平和ボケとはいいながら日本ほど酷くないのは、大規模テロを受けイスラエル政府が本気になったことです。予備役30万人の動員もすぐ行いましたし、すでにガザ国境沿いに10万人の兵力を集めいつでも地上侵攻できる状況だそうです。ここらあたりはさすが世界指折りの軍事国家ですね。日本ではとても真似ができない芸当です。

 多数の国民をテロリストに殺されたイスラエルは絶対に妥協しないでしょう。私はハマス戦闘員は言うまでもなくその協力者も全員物理的に排除(どういう事かはそれぞれ想像して下さい)するまで終わらないと思います。この期に及んでハマス幹部の一人は「政治的交渉の用意がある」などとヘタレたことをほざいてますが、人質を虐殺しておいて何を言っているんだと呆れます。

 自国民を殺されたアメリカもキレて東地中海に空母打撃群を派遣しました。これでイランの参戦可能性は低くなったと思います。もしイランが参戦してイスラエルにミサイル攻撃したら終わりです。さすがにそこまで馬鹿だとは思えません。ハマスは愚かですが。

 情報機関の重要性、それを取り上げる政府の能力、今後の日本の在り方を考えさせられた事件でした。おそらく第5次中東戦争には発展しないと思いますし、そう信じたいですがガザ地区は戦場になるでしょうね。皆さんはモサドが劣化したのか、イスラエル政府が劣化したのか、どちらだと思いますか?