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第4次中東戦争時イスラエル陸軍戦闘序列

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 忘れたころにやってくる戦闘序列シリーズ(笑)。これは第4次中東戦争時のイスラエル陸軍戦闘序列です。

 北部軍は対シリアのゴラン高原が戦場。南部軍はシナイ半島で強大なエジプト軍と対峙します。ぱっと見て分かるのは機甲部隊の異様な多さ。これはタル少将のオールタンク・ドクトリン(タル理論)に基づく編制で、わずか人口500万(当時。現在でも800万ちょっと)のイスラエルが少数精鋭の兵力で10倍以上の人口差を持つアラブ諸国を機動力で圧倒するための軍事ドクトリンでした。

 500万という事は、外征兵力はその3%として15万。これだと兵力が足らないから予備役を総動員して7%の35万までは無理したら動員できます。イスラエルは、最大最強の敵をエジプト軍だと見ていて南部のシナイ戦線に虎の子のアメリカ製M48、M60戦車を集中配備しました。シリアに対しては旧式のセンチュリオンやスーパーシャーマンを充てます。それにすら負けるシリア軍のT-62、絶句するしかありません。モンキーモデルにしてもちょっと考えられませんね。

 M48は90㎜砲ながらアメリカ製の信頼性の厚さ、命中精度でエジプト軍のT-62、T-55を圧倒します。エジプト兵の錬度の低さもあったんでしょうが、それでもエジプト軍はアラブ最強と目されていました。戦争に負けると国が滅ぶイスラエル軍との覚悟の違いなんでしょう。


 編制の話に戻ると、イスラエルはイギリスとの関係の深さからイギリス式の軍編制を採用しているようです。イギリスは旅団の下に大隊がついて連隊を廃止しています。平時は最近の軍隊の流行りに乗って旅団編制が中心で、戦時にそれらを複数組み合わせて師団にしているようです。

 ただ第4次中東戦争では、アラブ側が高性能なソ連対戦車ミサイル(9M14マリュートカ)を大量動員しイスラエル機甲部隊は大きな損害を受けます。結局イスラエル軍は戦車部隊に機械化歩兵を混ぜてアメリカ式の旅団戦闘団に改編して戦いました。戦車は敵の戦車にあたり、対戦車ミサイルを撃つ敵歩兵は機械化歩兵が排除します。

 戦争開始はアラブ側の奇襲でイスラエル軍は大混乱に陥りますが、地力で勝るイスラエル軍が次第に盛り返し有利な条件で停戦しました。


 イスラエルパレスチナ人弾圧とか色々暗黒面も言われますが、国防に対する真摯な姿勢だけは見習いたいですね。