鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

アメリカ陸軍機甲師団 (現在)

イメージ 1
 
 最初に言っておきます。これウィキペディアから拾ってきた米陸軍第1機甲師団編成表の画像ですけど微妙に間違っています(苦笑)。
 
 ドイツ装甲師団の記事で書いたので覚えている方もいらっしゃると思いますが、旅団戦闘団の兵科記号が違いますね。楕円の中の×は要りません。編成に戦車大隊と騎兵大隊を含み歩兵大隊も機械化部隊ですから機甲旅団でなければなりませんから。
 
 あと、ネットで見つけた英語版の資料では第3旅団戦闘団も機甲旅団になっているのでどちらを信じていいのか?もしかしたらウィキの記事は古いのかもしれません。通常機甲師団に機械化されていない歩兵旅団(あるいは連隊)は含みません。なぜならせっかく機械化されているのに通常の歩兵では移動で取り残されて機甲師団の意味がなくなるからです。
 
 この編成図の兵科記号自体間違いの可能性もありますね。第3歩兵旅団戦闘団は機械化歩兵でこの記号に楕円が加わるのかもしれません。
 
 
 と、ものすごく前置きが長くなりましたが、これが現代のアメリカ陸軍機甲師団の編成です。連隊を廃止し5つの旅団戦闘団に各部隊をバランスよく配置し諸兵科連合(コンバインドアームズ)効果を狙っています。
 
 というのも第4次中東戦争で戦車だけを突出させたイスラエル機甲部隊が、砂丘の陰で待ち伏せしていたエジプト軍歩兵の個人携帯対戦車兵器で壊滅的打撃を受けた戦訓からこの編成が採用されました。
 
 もともと戦車と機械化歩兵、自走砲を統合した戦闘団という考え方はドイツ軍から始まりました。戦記ファンならカンプグルッペ(戦闘団)という言葉を聞いたことがあると思います。バルジの戦いでのパイパー・カンプグルッペが有名ですね♪
 
 
 戦場で痛い目にあった米軍も諸兵科連合という概念は承知していて、以前は隷下部隊を持たない旅団司令部が師団の下にあり、状況に応じて各連隊、大隊を組み合わせて指揮するという仕組みでしたが、それならいっそのこと連隊を廃止して旅団に直接属すればいいじゃないか、ということでこのようになったそうです。
 
 1個機甲旅団は、
 1個戦車大隊(M1A2エイブラムズ戦車装備)
 1個騎兵大隊(M3ブラッドレー騎兵戦闘車装備)
 1個機械化歩兵大隊(M2ブラッドレー歩兵戦闘車装備)
 1個自走砲大隊(M109、M110、MLRSなど装備)
 1個旅団支援大隊
 を指揮下に置いています。
 
 この機甲旅団(機械化歩兵旅団)を4つと、ヘリコプター航空旅団を1つ有するのが、現在のアメリカ陸軍機甲師団です。といっても第2次大戦中の90個もあった師団もだいぶ縮小され予備師団や州兵に格下げされたり廃止されていますから、実質完全編成の機甲師団は第1機甲師団だけですが。
 
 数年前のデーターで、今はどうか知りませんが現代のアメリカ軍は10個内外しか完全編成師団をもちません。最大2万としてもわずか20万ほどしか第一線兵力を持たないのです。(あとはそれに倍する予備部隊と支援部隊)。
 
 これをやりくりしてアフガンとイラクで戦争しているのですからアメリカ軍も苦しいのかもしれません。しかも現在の師団は歩兵師団でさえヘリコプター旅団と機械化歩兵旅団(歩兵戦闘車やストライカー装甲車装備)ばかりですからものすごく金のかかる編成です。
 
 さしもの超大国アメリカといえど、今の経済状況ではこれが限界なのかもしれませんね。