鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

核爆弾と弾道ミサイル

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 最近、故江畑謙介さんの「日本防衛の在り方」という本を読みました。2004年刊と10年前の古い本ですが現代に通じる事も多く大変感銘を受けました。その中で、核爆弾と弾道ミサイルの話は現在進行形の脅威ですので私なりに理解した事を記したいと思います。

 皆さん、核爆弾といってもどのような仕組か良く分からないと思います。かくいう私もそうでした。知識として原子爆弾水素爆弾中性子爆弾があるのは知っていてもそれがどんなものか良く理解できてない人が多いはずです。

 まず原子爆弾について説明しましょう。原子爆弾には大きく分けて二種類ガンバレル型と爆縮型があります。ガンバレル(砲身)型とは核分裂の連鎖反応が自然に起こるために必要な核分裂物質の量(クリティカル・マス=臨界量)を上回る量を集め連鎖反応が起こらないように二分しておきます。一つをパイプの一端に置き、もう一つを反対側に置いてロケットや爆薬を使って一瞬に両者を合体させます。すると全体の核分裂物質は臨界量以上になって連鎖反応で核分裂が始まり核爆発します。ちょうど砲身の中を弾丸が飛んでいくような起爆方式なのでこれをガンバレル型と呼びます。この方式には、核分裂物質として自然状態として放出している中性子が多いプルトニウムは使えないのでウラン235が使用されます。広島型原爆がこのタイプです。

 次に爆縮型とは、ウランやプルトニウム235の周囲に爆薬を置き周辺から同時に爆発させて中心部に押し縮める起爆方式のため、これを爆縮(インプロージョン)型と呼びます。中心部の中性子密度が臨界量以上になって核分裂の連鎖反応が起こり大きな爆発力を得ます。ただしウラン235を使う場合は、自然に放出する中性子量が少ないために中性子を外部から補ってやらないと核爆発は起こりません。そこでイニシエーターと呼ばれる中性子発生装置から爆発による応力波が中心部に集まる瞬間を狙って中性子を放出してやらなければなりません。この技術はとても難しいため爆縮型には通常プルトニウムが使われます。これが長崎型原爆です。爆縮型はガンバレル型に比べて小型軽量化できるので弾道ミサイルの核弾頭にはこちらが使用されます。



 ついでに水素爆弾の仕組みも簡単に説明します。水爆は一端が丸い円筒形や回転楕円形の弾殻内の丸い側の焦点に原爆を置き、もう一方の焦点に外層に圧縮剤のウラン238、中間層に主役の核融合物質である重水素化リチウム、内層にさらなる熱源としてのプルトニウム239を置いた三層構造で、さらに弾殻は放射能の反射材として機能させるためにベリリウム、ウラン、タングステンなどを使用したものです。

 まず原爆を起爆させ、その核反応によって強力なX線ガンマ線中性子線が放出されます。それらは弾殻の球面に反射されもう一方の核融合部分に照射されます。照射されたX線核融合物質周辺のスチレン重合体などを瞬時にプラズマ化させ、高温高圧となって円筒部の中心に位置する3層の核融合部分を圧縮します。ウラン238が推進効果で核融合物質としての重水素化リチウムを中心へ圧縮すると同時に中心軸のプルトニウム239がガンマ線中性子線の照射を受けます。プルトニウム239が核分裂反応を起こすことで中心部からも重水素化リチウムを圧縮します。(この部分、ウィキぺディアのまる写し。自分で語句を説明する知識がなかった…汗)

 こうして超高温超高密度に圧縮された重水素化リチウムが核融合を始めて大きな爆発を起こすのです。当然原子爆弾より爆発力は大きいです。ただし原爆以上に難しい技術のため水爆を持っている国は限られています。


 水爆保有国としては、安保理五大国(米英仏ロ中)は確実。イスラエルは微妙(公表しないため)。他の核保有国はおそらく原爆のみだと思います。日本として気になるのは北朝鮮の核ですが、ノドンミサイルはペイロード(最大搭載量)1トンなので、おそらくこれには弾頭に核を詰めるでしょう。テポドンとムスダンは諸説ありますが、ペイロード数百キロとされているのが本当ならば、おそらく搭載できないでしょう。北朝鮮の技術がここまであるとは思えません。ただしノドンでさえ射程距離2000kmですから日本の大部分は含まれます。その意味では、アメリカにとっては差し迫った脅威ではないが、日本は危急存亡の秋だと言えます。

 さらに北朝鮮ミサイルの始末が悪いのは、半数必中界(CEP)が2kmもあることです。これではどこに飛んでいくか分かりません。精度の高い核ミサイルより迎撃が難しいと思います。


 通常考えれば、ミサイル防衛(Missile Defense 略してMD)はよほど大規模にしなければ日本国民を守りきれるものではないと云う事です。防衛予算には限りがありますし、100%の迎撃はあり得ないので少なからずの日本国民が犠牲になると思います。おそらく万単位の!専守防衛とはそういう事。

 まともな神経の持ち主なら、完璧な防衛などできないので報復手段を持って対抗するしかないと考えるはず。核武装とまでは言いませんが(外交的にも難しいので…)、少なくとも敵が核ミサイルを撃ってきたらこちらも報復にミサイルを撃ち込むようにできなければなりません。日本に報復手段があれば核攻撃にも躊躇するはず。これが抑止力です。

 すくなくとも巡航ミサイル、そして敵の首脳を爆殺できるようにバンカーバスタやサーモバリック爆弾を弾頭に積めるようにしなければなりません。