鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

テロの恐怖

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 最近、故江畑謙介氏の「アメリカの軍事力」(講談社現代新書 2002年刊)と松井茂氏の「世界軍事学講座」(新潮社 1996年刊)を読みました。どちらも古い本なんですが現代の国際情勢を鋭く予言していてなかなか読み応えのある本でした。

 ちなみに、江畑謙介氏を知らない人はいないと思いますが、一応説明しておくと高名な軍事評論家で他の追随を許さない鋭い考察、的確な情報で私の中では昭和平成の軍事評論家で河津幸秀氏と共に双璧をなす人物です。

 一方、松井氏はかつて湾岸戦争の時に活躍した軍事評論家です。情報の正確性では疑問符が付きますが軍事的な考察に関しては合格点を与えてもよい人物だと思っています。

 この際ですから、私の軍事評論家、軍事ライターの評価を書いておくと発言は偉そうだけど予想がことごとく外れネットで逆神(ぎゃくしん)と揶揄されている神浦元彰、田岡俊次は論外。岡部いさくさんは単なる飛行機オタク。だから飛行機の性能以外の事を聞いちゃ駄目な人。もしかしたら航空戦術、航空戦略も専門外かもしれないと危惧しています(笑)。井上和彦さんは自他共に認める軍事漫談家www小川和久は左翼。恵谷治はソフト左翼。最近売り出し中の鍛冶俊樹さんは著作を読んだことないので今のところ評価保留。青木謙知さんは航空評論家なので航空機に関する知識は信頼性が高いですが長いものに巻かれる性格っぽくてよいしょ記事が多いイメージ。ですから彼の場合行間を読む能力が必要です(苦笑)。

 だいたいざっと思い浮かべる人ってこのくらいかな?もちろん自衛隊出身の志方俊之さんとか河村純彦さんは自衛隊に関する情報は信頼性高いですよ。あと関係が深い米軍と仮想敵国の支那も。故松村劭(つとむ)さんは陸将補ながら若干怪しかったけど(爆)。ただ松村さんは軍事史に関する知識だけは鋭くて色々勉強させていただきましたが…。


 横道にそれてしまったので本題に戻すと、9.11のアメリ同時多発テロアメリカのみならず世界に衝撃を与えた事件でした。江畑さんの考察によるとテロに使われたハイジャックされたボーイング757型旅客機は本体重量が約58トン、燃料が推定で20.5トン残っていたとされます。これがペンタゴン世界貿易センタービルに突っ込んだわけですがTNT火薬に換算して200トンから400トン分に相当する威力だったそうです。この説明じゃピンとこないと思いますので詳しく書くとざっと戦術核兵器の数十分の一の威力だといいます。とうぜん通常弾頭の巡航ミサイルよりはるかに大きな威力を持っていました。ちなみにトマホークの弾頭重量は454kg。

 建国以来、独立戦争など一部の例外を除いて本土を敵の攻撃にさらされた経験のないアメリカにとってその衝撃は甚大で、以後のアメリカの戦略をことごとく変えたと言われます。当時アメリカは本土防空にF-15F-16を500機以上あてていたそうですがニューヨークとワシントン上空の異常に気付き近くの空軍基地のF-15スクランブルした時にはすでに手遅れ。まだ突入していないハイジャック機を撃墜するという最悪の結果に終わりました。

 テロリストが旅客機をハイジャックして自爆テロをした場合どうやっても間に合わないし、空港でテロを未然に防ぐことも100%できるはずはない。だったらテロの元を断とうということでアメリカは終わりの見えないアルカイダタリバンとの泥沼の戦争に突入しました。そしてそれは今も続いています。

 これをテロリスト側からみると、ハイジャックした旅客機を敵の重要施設に突っ込ませると巡航ミサイル以上の威力があるのですから最悪の武器を手に入れた事になります。これを考え付いた者は相当狡猾な人物だと思いますが、日本の現状を考えた場合果たしてアメリカやテロが頻繁に起こる欧州各国ほど深刻に考えているか疑問です。最悪の場合、ハイジャック機に民間人が乗っていてもより大きな惨劇を防ぐために撃墜するという非情な決断を下さなければならないのです。

 政治家を言うまでもなく国民全体にその覚悟があるかどうか考えると、集団的自衛権とか専守防衛などと云う寝言を言っている場合じゃないと思います。


 世界は平和ボケの日本人が考えている以上に厳しい。ましてやテロリストは己の命を捨ててかかってきています。私は遠からぬ先に、日本人の覚悟が試される時期が必ず来ると思いますよ。