

この前、LCS(沿海域戦闘艦)を紹介したのでその前級のオリバー・ハザード・ペリー級を紹介しないわけにはいきますまい(笑)。
私はステルス船体採用で未来的なLCSより、古き良き時代のO・H・ペリー級の方が大好きでございます。
一般の方は、フリゲートとは何ぞや?と疑問に思われるでしょう。もともとは【第二次世界大戦で船団護衛や対潜戦闘の主力として大量に生産された駆逐艦より小型・低速の艦が、戦後、イギリスに倣って「フリゲート」】(ウィキペディアより)と呼ばれるようになったのですが、最近では大型のフリゲートも出てきたので区別があいまいになってきています。(例 ドイツのザクセン級満載排水量5690tなど)
その理由は、低コストでありながら対潜任務、対艦任務、対空任務と何でもそつなくこなすからなんですね♪もちろん個々の能力はアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦のようなイージスシステム搭載艦には劣りますが、汎用性という点ではこれだけの能力があれば十分なんです。
それでも例えば対空ミサイルに長射程のスタンダードSAM、対艦ミサイルにハープーンSSMを搭載するなどなかなか侮れない能力を持っています。2006年までの空母戦闘群ではタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦、スプルーアンス級駆逐艦と共に虎の子の空母を直衛する任務を持っていました。
米軍の戦術では、スプルーアンス級とのハイ・ローミックスで運用するつもりでした。そのため51隻というアーレイ・バーク級が登場するまでは同一クラスの戦後最多建造数を誇ります。ちなみに2次大戦以前ならフレッチャー級駆逐艦の175隻が最高記録かな?(たぶん。間違ってたらごめんなさい)
しかし、アーレイ・バーク級が登場すると今まで9隻(空母戦闘群)で空母を守っていたのがバーク級ほか6隻(空母打撃群)で事足れて、しかも防空能力もイージスシステムによって飛躍的に向上したのでこのような汎用フリゲートの必要性がなくなります。
そのため米海軍では急速に退役が進み、15隻が現役に留まっているのみです(2012年3月現在)。しかし、ペリー級はまだまだ世界各国ではあらゆる任務に必要十分な能力をもっていることから引っ張りだこで、退役したペリー級を購入する動きもでています。
ペリー級は、低コストといいながらも1987年イランイラク戦争中イラク空軍のミラージュF1戦闘機からエグゾゼ空対艦ミサイルの誤射を受け被弾、しかし沈没することなくバーレーンで応急修理を受け米本土で修理されて戦列に復帰するという驚異的な抗堪性を示します。もちろん米海軍のダメージコントロールの高さもあったのでしょうが、このあたりがフリゲートのベストセラーになった理由の一つだと思います。
米海軍ではペリー級の後継をフリーダム級などの沿海域戦闘艦(LCS)に移行させるつもりですが、これはバーク級の大量建造(63隻+α)で空母の直衛任務から解放されたのも理由の一つでしょう。
【性能諸元】
満載排水量: 3605t(初期型)
速力: 29ノット
航続距離: 20ノットで4200海里
兵装: Mk.75 76㎜単装砲
スタンダードSAM
ハープーンSSM
Mk.32 三連装短魚雷発射管
艦載機: 対潜ヘリ2機