野砲兵連隊の主力野砲となるはずの機動九一式十糎榴弾砲(口径105㎜)
野戦重砲連隊の主力野砲で理想的編成では野砲兵連隊にも配備予定の九六式十五糎榴弾砲。
マニアックすぎて誰も付いてこれないと思いますが(苦笑)、長年の疑問だった帝国陸軍の理想的砲兵連隊の編制がどうだったかおぼろげながら分かったので記事にしてみました(笑)。
戦史に詳しい方は、通常日本の野砲兵連隊は75㎜野砲×24門、105㎜榴弾砲×12門の計36門編制だとご存じでしょう。
ところが資料によっては48門定数とされており、頭がこんがらがっていました。私なりの解釈では理想的には48門だが、砲の生産と砲兵の養成が間に合わないため36門定数としたのだと思っていました。
といいますのも伝統的な4単位編制(2個旅団、歩兵4個連隊)師団隷下の砲兵連隊に48門編制が多く、新しく編成された3単位師団(歩兵連隊3個)隷下の砲兵連隊では36門定数だったからです。
しかし今回調べた「大砲入門」(佐山二郎著)その他で、昭和十六年度動員計画訓令でやはり陸軍は48門定数を志向している事が分かりました。
確かに三八式野砲、改造三八式野砲、九五式野砲(口径はともに75㎜)では威力の面で列強砲兵に見劣りしていましたからね。軽さだけが唯一の取り柄。まともな性能の九〇式野砲、機動九〇式野砲も完全に行き渡って無かった状況ですし…。
ただ師団隷下の野砲兵連隊に九六式十五糎榴弾砲を配備する場合、車両牽引前提の機動化(車輪をゴムタイヤに換装する)が必須です。重量4140kgもあるので大型の牽引車両を揃えなければなりません。
それを考えると48門定数の野砲兵連隊はあくまで理想にすぎなかったのかもしれません。15cm榴弾砲は旧式の四年式十五糎榴弾砲でいいじゃない?などというとんでもない意見もあったそうですし(苦笑)。実際余ってたから砲兵連隊に配備されたケースもあったそうです。
あくまでも師団隷下の野砲兵連隊は機動力が優先されます。もちろん威力その他バランスよく纏まっている事が大前提ですが。