これは乾燥地方で古くから普及している人工の地下水路で、発祥はイラン高原だと言われています。山麓に深い竪穴を掘り、地下の帯水層と行き当たったところから横穴を掘ります。そして20m~30mおきに竪穴をほり、それを交互に繰り返しながら人の住む平地まで導きます。
イランではおよそ3000年前から存在すると言われますから驚きです。この技術は中央アジアや北アフリカまで伝えられ世界各地で見られます。
ところで、これを大々的に整備したのはアケメネス朝ペルシャだそうです。まさに世界帝国が取り組んだ一大国家プロジェクトだったのでしょう。
しかし、現在は最盛期からみるとかなり減少しているみたいです。といいますのも13世紀にモンゴルの侵入があり、かなりの数のカナートが破壊されたといいます。人を制するには水を制するのが早いのでしょうが、このためにどれだけ多くの住民が命を失ったか想像もできません。
モンゴルはイスラムを敵視し、文化遺産も破壊しつくしたといいますから残念です。世界を一つに纏めたと言う功績もありますが、負の遺産も多いと思います。