鳳山雑記帳はてなブログ

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ロシア軍スネーク島から撤退、ウクライナ戦争の現状

「蛇島」を維持できなくなったロシア軍、国連への「善意」から撤退すると宣言して世界が騒然


 黒海北西部、ウクライナルーマニアの国境沖37㎞に浮かぶ小さな島ズミイヌイ島(通称スネーク島)。最高点でも海抜41m、岩だらけの扁平な島です。どうして蛇の島と呼ばれるようになったかというと、14世紀ジェノバの船乗りが島に上陸し大量の蛇を発見したからだと言われています。

 この島が有名になったのは、ウクライナ戦争開戦劈頭ロシア黒海艦隊の降伏勧告をスネーク島の守備隊が拒否し全滅したからです。以後、ロシア軍が支配していますが、ウクライナ軍は無人機や地対艦ミサイルで攻撃していました。ロシア軍は地対空ミサイルなど防御陣地を構築しますが、遮蔽物がない島なので本格築城するとすれば大東亜戦争硫黄島のように地下陣地にしなければなりません。そういう時間の余裕もなければ建築するための資材もない、しかも船で資材を運ぼうとしたらウクライナ軍の地対艦ミサイルでやられると守るのに非常に難しい島でした。

 ロシア軍がこの島に固執したのは、ウクライナ黒海から小麦などを船で輸出するのを妨害するためです。しかし、トルコなどがウクライナからの海路小麦輸出に協力の姿勢を示し始めたことから維持する戦略的意義が薄れてきていました。しかも一方的にミサイルで叩かれるだけなのでロシアとしてもついに音を上げたという事なのでしょう。ロシア軍スネーク島撤退というニュースは朗報でした。

 とはいえ、ロシア軍はウクライナ東部で攻勢を続けウクライナ軍は劣勢を強いられています。ルハンシク州最後のウクライナ拠点、セベロドネツクも激戦の末ロシア軍に占領されました。ロシア軍はルハンシク州を完全に掌握しドネツク州へ攻撃の主力を移しつつあります。戦争当初のロシア軍の攻勢は西側のウクライナへの武器援助で頓挫、6月中旬か7月にはウクライナ軍の逆襲が始まるという見方が多かったように思えます。

 しかしそのような兆候は今のところ見えません。どういうことかというと、ロシア軍は東部に戦力を集中しウクライナ軍の10倍ともいわれる膨大な砲兵火力で圧倒する戦術に切り替えたからです。これは第2次世界大戦の機動戦とも違う第1次大戦型の塹壕戦です。ロシア軍は火砲の支援が得られる地点までしか前進せず、前進する場合はウクライナ軍陣地を火砲で徹底的に叩いてからしか行動しなくなったそうです。

 この戦法を採られるとウクライナ軍は苦しい。これがじりじりとウクライナ軍が押されている現状なのでしょう。ウクライナ側もアメリカから精密攻撃ができる自走多連装ロケット砲HIMARS(ハイマース)の供与を受け何とか反撃の態勢を作ろうとしていますが、数が圧倒的に足りません。少なくとも100両以上が必要だと言われますが、アメリカもNATOも数の余裕がなくそこまで大量の兵器援助はできないそうです。ドイツ製の優秀な自走砲PzH2000も生産するのに数年かかるそうで、今の援助数が限界だと言われています。

 あと、旧東側装備の152㎜榴弾砲などもウクライナ軍はほとんど撃ち尽くしたそうです。今急ピッチでポーランドなどで旧東側火砲用の砲弾を生産しているそうですが間に合うかどうか微妙です。ロシア側は厳しい経済制裁半導体などは入手不可能で精密攻撃できるミサイルなどは生産できなくなっているそうですが、資源がたっぷりあるので大砲の砲弾は大量生産できます。自軍の有利な点を使ってウクライナ軍の弱点を衝く、ようやくロシア軍はまともな戦法を採り始めたという事でしょう。

 このまま消耗戦になり戦争は長引きそうです。ウクライナ軍の士気が続くか、ロシア軍が経済的に行き詰まり戦争継続できなくなるかの勝負だと思います。西側の兵器援助が限界に近づけば、いずれ日本にも牽引式のFH70 155㎜榴弾砲やその砲弾の供与要請の話が来ると思います。岸田政権が欧米の要請という名の圧力に耐えきれるかどうか?結局は援助しなければならなくなると思いますよ。その時のためにも、99式155㎜自走榴弾砲や19式装輪155㎜自走榴弾砲を大量生産し、余ったFH70をウクライナに供与できる体制を早急に作る必要があると思います。

 その意味でも防衛費対GDP比2%は最低ラインだし、もっと自衛隊を増強する必要があると個人的には考えています。皆さんはウクライナ戦争の今度、どうなると思われますか?