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書評 「機甲師団」(読売新聞社 編)

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 これも江畑さんの『軍事とロジスティクス』と一緒にアマゾンで買った本です。1986年の本で全く期待していなかったんですが期待以上の本でした。なにしろ冷戦時のアメリカ、ソ連、西ドイツ、フランス、イギリスの機甲(装甲、戦車)師団編制表が載っているんですから!

 これだけでも買う価値があると思います。同時にソ連戦車師団に関し長年の疑問だったことが氷解しました。ソ連戦車師団は3個戦車連隊を基幹とし機械化狙撃連隊1個、自走砲兵連隊1個、多連装ロケット大隊1個、各種支援部隊から成ります。通常、戦車連隊は数個戦車大隊を隷下に持ちますから、これだと戦車師団全体で500両以上の戦車を持つことになります。

 冷戦時、ソ連軍は5万両以上の戦車を保有していましたから師団でそのくらいあっても不思議ではないんですが、あまりに戦車が多いと師団単位では管理できないのではと疑問に思っていたんです。ところが本書の師団編制表を見て納得しました。ソ連の戦車連隊は3個戦車大隊から成りますが、大隊の戦車保有定数は31両と西側のそれより少ないのです。ですから1個戦車連隊の戦車保有定数は95両。これが3個と機械化狙撃連隊の戦車を含めても340両にしかなりません。戦車大隊が31両というと、第2次大戦期の戦車旅団隷下の大隊とほぼ同じでソ連軍の伝統なのかもしれません。

 これだと冷戦時のアメリ機甲師団の戦車保有定数(320両)とあまり変わりません。これくらいが1個戦車師団で運用できる戦車の限界なのでしょう。ただし当時のソ連軍は機械化狙撃師団ですら200両の戦車を保有してましたから世界一の戦車王国であったことに変わりなく、最盛期のソ連軍は戦車師団50個、機械化(自動車化も含む)狙撃師団136個、空挺師団7個(計193個師団)という恐るべき兵力を誇っていましたから数の上では脅威でした。

 冷戦期、NATO軍が戦術核を使ってもソ連軍+ワルシャワ条約機構軍の進撃を防ごうとしたのが理解できます。これくらい膨大な数があると、いくら西側が質に優れていると言っても対処しきれないからです。

 アメリカのレーガン政権が、スターウォーズ計画を打ち上げ軍拡競争でソ連を崩壊に持ち込んだのは世界のためにも良かったと思います。今、支那が軍拡を行っていますが冷戦期のソ連軍ほどの規模にするのは不可能でその意味では当時のソ連は世界最大の戦車王国だったともいえるでしょう。

 33年前の非常に古い本ではありますが、買って良かったと本当に思います。