鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

F-16と聖域

 ベトナム戦争の時、米軍は北ベトナム勢力を叩くため大規模な北爆を実行しました。ところが戦争が拡大しソ連が介入して世界大戦に発展するのを恐れるあまり、最初は北ベトナムの空軍基地(ソ連の軍事顧問団がいた)を攻撃対象から外したり、明らかに陸路シナから武器弾薬が運ばれているのにシナ本土への爆撃は避けました。その上、北ベトナム軍やベトコン(南ベトナム民族解放戦線)は米軍との戦闘で消耗するとカンボジアラオス領内に入り勢力を回復、再びベトナムに戻って戦います。ホーチミンルートもラオスカンボジアの領内を通っていました。

 これを当時聖域と呼びます。さすがに米軍も腹に据えかねたのかカンボジア侵攻という暴挙を犯しましたが、米政府の腰が引けた戦争指導により結局南ベトナムを見捨て撤退することとなるのです。

 一方、ソ連も聖域に苦しめられた経験があります。ソ連崩壊の一因にもなったアフガニスタン侵攻です。アフガンゲリラはソ連軍との戦闘で大きな損害を受けるとパキスタン領内に逃げ込んで勢力を回復しました。さすがにソ連パキスタン領に越境攻撃するわけにはいかないので、これが聖域となっていつまでもアフガンゲリラを根絶できなかったのです。

 そしてウクライナ戦争でもどうやらF-16の聖域ができそうです。ニュースソースは失念したんですが、たぶん乗り物ニュースだったと思います。今年の7月には西側供与のF-16戦闘機の第一陣が到着し作戦に参加すると言われています。最終的には80機前後のF-16が揃うそうですが、整備や修理はどうするのだろうかと疑問に思っていたんです。ウクライナ空軍の整備陣もソ連製戦闘機の整備は慣れているはずですが、西側戦闘機の整備ができるようになるには非常に長い時間がかかると見ていました。

 どうやらその問題は、ポーランドなどがF-16の整備・修理を引き受けることで解決しそうです。F-16は西側のベストセラー戦闘機なので運用しているポーランドは整備も慣れているはずだし、部品も豊富にあると思います。ウクライナパイロットは、損傷したり修理が必要になったら国境を越えポーランドに来ればよいのですから楽です。そして整備や修理が終わって万全な状態でウクライナに戻れます。

 一方、ロシア側はF-16ウクライナ領内にいるうちに撃墜しなければいつまでもいたちごっこが続きます。もし業を煮やしてポーランド領に逃れたF-16を攻撃したらそれこそ第3次世界大戦です。ですから、不愉快でもポーランド領内への攻撃はできません。せいぜいNATOを非難するくらいでしょう。

 ソ連時代アフガン侵攻で聖域に苦しめられたのに、今度はロシアが聖域で再び苦しめられようとは、まさに歴史の皮肉ですね。ロシアは、アメリカ大統領選挙でトランプが勝つのを熱望していることでしょう。最悪アメリカの軍事援助が止まる可能性もあるのですから。という事でまだまだウクライナ戦争は予断を許しませんが、日本の国防のためにもロシアには負けてほしいですね。