ポーランド「MiG-29追加で送る!」ウクライナへ供与決定 F-16は“ちょっと待って”? ロシアは痛烈批判
ロシア軍の冬季攻勢が頓挫しいよいよウクライナの大反攻作戦が始まろうとしています。バフムートを巡る攻防戦は、この町を囮にした誘引作戦でロシア軍に多大の出血を強いました。ロシア軍主力をバフムートで磨り潰させ、来るべき反攻作戦のための予備兵力を温存していたウクライナ軍ですが、すでに戦線各地で威力偵察を始めています。威力偵察とはいいながら、ロシア軍の防衛が手薄なのか各地で成果を上げつつあるウクライナ軍。
現代の戦闘はエアランドバトルと呼ばれる空陸統合作戦が重要です。地上の機甲部隊の進軍に合わせ空軍の近接航空支援、敵の空からの妨害を防ぐための制空戦闘を有機的に組み合わせ、敵正面だけでなく後方まで含めた縦深作戦です。その際、ウクライナ軍は西側諸国にベストセラー戦闘機F-16の供与を求めていました。
F-16は4600機以上も生産させ、開発国アメリカをはじめ西側諸国を中心に世界各国で採用された高性能マルチロール戦闘機です。今はより高性能のステルス戦闘機F-35が登場しましたがアメリカはよほど信頼のおける国にしか売却しないため、まだまだF-16は世界各国で主力戦闘機であり続けるでしょう。もっとも韓国のように信用できない国がF-35を購入した例はありますが、アメリカは韓国へ売却したF-35には最低限の機能しか与えていないとも言われます。
それはともかく、F-16もどのバージョンを送るかで話は変わってきます。古い機体ならあまり効果は上げられないと思いますが最新のF-16E/FかF-16Vなら、AWACS(早期警戒管制機)とセットで運用すればロシア空軍を圧倒する可能性はあります。すでにNATOのAWACSはウクライナ国境上空を飛んでウクライナ空軍に情報提供していますからね。
ただ、これまでウクライナ空軍が使用してきた機体はソ連・ロシア製のMiG系列かSu系列ですから転換訓練に非常に時間がかかります。機体の操縦だけでなくNATO式の部隊運用も学ぶ必要がありますからね。それよりは供与されてもすぐ使えるNATOの旧東側諸国のMiG-29の方が即戦力になると思うんですよ。
私がウクライナ戦争勃発当初から指摘していた通りNATOの旧東側諸国が運用するMiG-29はアビオニクスなどを西側準拠のものに換装しています。だから空対艦ミサイルのハープーンや対レーダーミサイルHARMを運用できるのだと思います。当然誘導爆弾のJDAMも運用できるし、アメリカのサイドワインダーやAMRAAMなどの空対空ミサイルも撃てるかもしれません。サイドワインダーの方は赤外線誘導だからスロットの規格さえ合えばすぐ撃てるとは思いますがね。
ウクライナは2014年にロシアに不当な手段でクリミア半島を取られたときからアメリカを中心とするNATOの援助を受け兵器体系も西側装備にシフトしていたと言われます。もしかしたらウクライナ空軍が保有するMiG-29などもNATO準拠のアビオニクスに換装されていたかもしれません。
おそらく来るべき反攻作戦で使われる戦闘機はNATO規格に改修されたMiG-29が主力になるでしょう。地上でもレオパルド2の数が揃うのは当分先になりそうですから、T-72などのロシア製戦車が主力でしょう。チャレンジャー2はわずか1個中隊分(14両)しかありませんし、レオパルド2もまだ数十両しか届いていないそうです。補給の面からもレオパルド2で300両(3個戦車旅団分)揃えられたら理想だったんでしょうね。チャレンジャー2の120㎜砲はライフル砲なので専用の砲弾を揃えないといけませんから。
ウクライナ軍の大反攻作戦はすでに始まっているという説もありますが、私は5月以降になるのではないかと考えています。ともかく日本の安全保障に面からもロシアの敗北と弱体化は望ましいのでロシアに大打撃を与えて欲しいですね。今後も要注目です。