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ウクライナ軍、バフムート撤退しても軍事的には成功だった

【軍事】ウクライナ大統領、バフムト撤退の可能性示唆 ポーランドで会見


 このブログで何回も紹介した元陸上自衛隊東部方面総監渡部悦和(よしかず)陸将。渡部さんは、ロシア軍の大攻勢でバフムート陥落寸前になり世界中が撤退を予想していた時から、ウクライナ軍がバフムートを守り切る可能性を指摘していました。欧米の軍事研究機関、各国政府の公開情報から分析して、ロシア軍の内部対立、民間軍事会社ワグネルの兵站の限界、兵力の消耗からウクライナ軍が守り切るという予想でした。

 結果的に渡部さんの分析は正しかったと思います。公開情報から分析するという手法は、大東亜戦争時米軍の侵攻方向をズバリと予測しマッカーサー参謀という異名で呼ばれた掘栄三元陸軍中佐と同じです。プロの軍人、しかも高級幹部にまでなった人はレベルが違うと感心しました。渡部さんは、ウクライナ軍の意図はバフムートを囮にしてロシア軍主力を誘引、莫大な損害を出させることで、来るべきウクライナ軍の大反攻作戦を有利に導くことだと予想されていました。

 その渡部さんですが、最新のネット番組で「ウクライナ軍の目的はほぼ達成された。ロシア軍の被害は甚大でワグネルはまともな作戦行動が困難になった可能性もある。ウクライナ軍は大反攻作戦を実行する準備を整えた」と発言されていました。そしてバフムート防衛の目的は達成されたのだから、今後はバフムート西方に設けられた防御陣地に後退し遅滞防御戦闘に移っても良いだろうと指摘されています。

 ロシアとマスゴミを含む日本のロシアンフレンズはバフムート攻防戦でロシアが勝ったと大戦果を強調するでしょうが、騙されないようにしてください。ゼレンスキー大統領がバフムート撤退の可能性を示唆したのも渡部さんの分析が正しかったからだと思います。ウクライナ軍の戦略目的が達成されたのなら、要衝でもなく軍事的価値の低いバフムートに固執する必要性はありません。

 渡部さんは、ウクライナ軍の大反攻作戦開始時期を5月中だと予想されています。進行方向も欧米の軍事研究機関で予測されている通りザポリージャ州を南下しアゾフ海に達するような進撃をする可能性が高いそうです。ただザポリージャ州南部の要衝メリトポリは、ロシア軍もウクライナ軍の反攻を予測し要塞化しています。ですから渡部氏は、メリトポリへ向かう進撃路と同時に攻勢軸をもう一本設けてより東で空軍基地のあるアゾフ海沿岸のベルジャンシクへも向かうだろうと予測されています。

 その際、防御の硬いところはスルーしてアゾフ海沿岸に一刻も早く達することが重要だそうです。ロシア軍占領地を東西に分断しクリミア半島を孤立させれば、メリトポリのロシア軍がいかに激しく抵抗しても立ち枯れになり陥落は時間の問題です。今後戦局がどのように推移するか興味深いです。

 しかし渡部さんは、ロシア軍も攻撃するときは将校の損害が甚大で機能的には動けなくなっているが防御戦に徹するときはそれほど高度な指揮統制は必要ないので、意外と粘り強く戦うのではないかと予想されていました。防御時のロシア軍を甘く見ることはできないそうです。

 日本の安全保障のためにもロシアの敗北は望ましいので、ウクライナ軍大反攻作戦の成功を期待します。