鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

MOABは米朝戦争では使用されない?

イメージ 1

 MOAB(Massive Ordnance Air Blast=大規模爆風爆弾兵器)、正式名称GBU-43/B。先日アフガニスタンでテロリストに対して投下され世界に衝撃を与えた兵器です。一説では米朝戦争が勃発した場合、米軍が北朝鮮の38度線砲兵陣地帯に向けて使用するのではないかとも言われます。

 MOABとは一体どのような兵器なのでしょうか?長さ9.1m、重量9800kg、炸薬量8482kgという大型兵器です。大きすぎるため通常の爆撃機には搭載できず、C-17やC-130の後部貨物扉からパレットごとパラシュートで引き出され空中投下されます。

 通常の爆弾は爆風と共に飛び散る金属破片でダメージを与えますが、MOABは爆風に特化した兵器です。投下されたMOABは地上すれすれで爆発します。すると強烈な爆風が生じ投下地点を中心とする半径数百メートルが一瞬で吹き飛びます。その外側にも強烈な爆風と閃光が襲います。米軍の保有する兵器の中で核以外では最大の威力を誇ると言われ、実際核爆弾のようにきのこ雲ができるそうです。

 あまりにも威力があり市街地に投下したら甚大な被害が生じ、米軍に国際非難が殺到するためイラク戦争時に使用が検討されますが結局断念されました。今回アフガニスタンで使用されたのは山岳地帯でテロリスト以外に被害が生じないという事と、実際の威力を確認するためだったとも言われます。

 さてMOAB北朝鮮の38度線砲兵陣地帯や金正恩の籠る地下要塞破壊のために使用されるのではないかと噂されてます。ところがMOABは、水平線上の破壊に特化しているため地中深く分厚い鉄筋コンクリートを破壊する能力はありません。地上の砲兵陣地も半地下化し厳重に防備されているため直撃以外ではほとんど効果がないと言われます。

 では米軍はどんな兵器を使用するつもりなのでしょうか?米軍はおそらくバンカーバスターとサーモバリック爆弾の併用を考えているのではないかとも言われます。バンカーバスターは正式名称GBU-28。重量2132kgで地中貫通爆弾の名前通り垂直に威力を発揮する爆弾です。比較的軽いため、F-15Eストライクイーグルや韓国のF-15Kでも運用できます。貫通能力30m。

 さらにより大型のMOP(GBU-57 大型貫通爆弾)というものもあります。MOPは重量13.6tもありMOABよりもさらに大型です。貫通能力はなんと70m。分厚い鉄筋コンクリートでも60mの貫通力があり地下深くで爆発します。こちらはB-2ステルス戦略爆撃機、B-1戦略爆撃機、B-52戦略爆撃機でしか運用できません。

 金正恩が籠っているのが地下要塞の7階だそうですから、1階5mとして35m。十分な能力があります。しかし、金正恩の籠る場所の真上に落ちなければ生き残る可能性があります。そこでサーモバリック爆弾の出番です。サーモバリック爆弾は日本では燃料気化爆弾と言われますが、これはサーモバリックの一種に過ぎずこのカテゴリーの爆弾全体をサーモバリック爆弾と呼びます。

 サーモバリック爆弾の仕組みは、起爆すると爆弾内の耐圧容器に密閉された液体燃料を加圧沸騰させます。圧力の限界点に達するとその瞬間放出弁が開きます。すると液体燃料は一気に蒸発し秒速2000mという高速で噴出。自由空間蒸気雲爆発が起こります。この間わずか0.3秒。これはサーモバリックのうち燃料気化爆弾の説明ですが、ほかにハロゲン酸化剤、ホウ素、アルミニウム粉末、ケイ素粉末、マグネシウム粉末を使う方式もあります。起爆と同時に液体あるいは固体から気体に爆発的な相変化を起こさせる原理は同じです。

 通常爆弾は爆風と金属片で損傷を与えますが、サーモバリック爆弾は爆風と衝撃波、そして燃焼で酸素を一気に消費するため人体に関しては窒息という被害を与えます。核兵器の威力には劣ってもこれも大量破壊兵器である事には変わりなくおいそれと使える兵器ではありません。

 米軍は、まずバンカーバスターで大穴をあけそこにサーモバリック爆弾を撃ち込んで地下要塞全体を爆風と衝撃波、そして大量燃焼によって窒息させることによって金正恩を始末するだろうと言われます。特殊部隊はその後に地下要塞に突入し奇跡的に生き残った敵兵の排除、金正恩の死体を確認してミッション終了。

 もちろんこれは予測の一つで必ずこうなるとは限りませんが、MOAB使用はあまり現実的ではなさそうです。