【社会】「恵方巻き」、すっかり定着 市場規模は推計540億円に…食べない派は肩身が狭い?節分は1年で一番すしが売れる日★2
別に一般の方がそれに乗っかるのは構わないんですが、私はなまじ東洋占術の知識があるばかりに「何いってるの?」と呆れてしまいブームに乗れないでいます(苦笑)。
ググってみると恵方巻きはもともと大阪商人たちが商売繁盛と厄除けのために立春の前日の節分に食べた幸運巻き寿司が起源だそうです。それを一大イベントに仕立て上げたのはコンビニ業界だそうですが、その商魂たくましさには感心します。
ところで、恵方とは何かという話から始めなければいけません。恵方というのは陰陽道で歳徳神という吉神が巡ってくる方角のことです。歳徳神の巡る方角に向かって事を行えば万事吉とされるそうです。では、もともとの吉方位の起源はと言えば、古代支那の運命学体系である奇門遁甲が源流です。日本では簡略化され九星気学となりました。
三国志ファンならおなじみ諸葛亮が駆使したとされる占術ですよね。遁甲の考え方では年盤、月盤、日盤、時盤という4つの方位盤があり年盤の吉方位は一年間不変です。月盤は一月不変、日盤はその日に限って不変です。字盤に至っては2時間ごとに変わります。奇門遁甲は別名八門遁甲とも呼ばれますが、もっとも有名なものは休門、生門、開門、景門の吉方位と杜門、傷門、驚門、死門という凶方位でしょう。専門的にはこれら八門の他に六合や太陰などの八神、天英や天心などの九星、日本では気学で知られる一白水星とか五黄土星などの九宮などが複雑に絡み合って吉方位が決まります。
ですから年間を通じての吉方位などありえず、遁甲では年盤、月盤、日盤、時盤の吉方位が重なった時初めて吉方位と言えるのです。これらが完璧に揃うことはめったにありませんからそのうちいくつか重なればほぼ吉と言えるのですが、それもなかなか難しいのが現状です。
さらに加えて言えば、吉方位を生かすには太極という考え方に基づいてその方位に行って何時間あるいは何日と滞在しなければなりません。流派によってはお水とりと言ってその吉方位で汲んできた綺麗な湧水を飲むことで吉効果が出るというところもあります。とにかく太巻をいくら食べたところで遁甲では全く無意味なのです。
あるいは座山という考え方かもしれませんが、これは造作(改築や新築)に関するもので食事のようなお手軽なものではありません。詳しく説明するとそれだけで記事が一本できてしまうのでここでは言及しません。