設営隊というのは、その名の通り海軍の活動を支えるために航空基地を設営したり要塞を建設したりする部隊で、陸軍でいえば工兵(厳密に言うと戦場で陣地設営などをする戦闘工兵と後方で様々な施設建設を行う建設工兵を合わせたような部隊)にあたります。
意外なようですが、陸軍工兵にしても設営隊にしても機械化されていました。これは当然で人力でジャングルを切り開こうとすれば気の遠くなるような作業量になるからです。ただ海軍がブルドーザーの存在を知ったのは大戦初期にアメリカ軍の遺棄したものを接収したのが初めてで、慌てて日本でもコピーして生産したそうですがオリジナルに比べると能力は劣ったそうです。
本書は佐用氏が部隊指揮官としてニューギニア西部(ソロンなど)で基地建設に悪戦苦闘するところをリアルに描いています。まず輸送船で現地に行くまでが一苦労で友軍部隊が途中で米軍の潜水艦攻撃で海没するシーンなど戦慄せざるを得ませんでした。
現地に到着しても、資材の陸揚げがたいへんでその途中で米軍の航空攻撃で水の泡になる事もしばしばあったとか。
何もないジャングルを切り開くわけですから、まず設営隊の住処を建設するところから始めないといけなかったそうです。設営隊は一刻も早く航空基地を稼働させるため作業の優先順位を決め効率よく進めていきました。
土地調査でジャングルを踏破中、天然の温泉を発見するところなどほのぼのするシーンもあります。南方の酷熱地獄で戦っている将兵には何よりの娯楽だったろうなと想像できますね。