この内容にこのタイトルは詐欺です(爆)。むしろ「ヴェトナムの歴史と文化」とするほうが正解だったかも?
ただ、本の内容はとても面白かったです。米作りでもベトナムの北部は一期作、中部は二期作、南部は三期作だという話や、ベトナム人は北部と南部で民族気質が違う、つまり北部は尚武の民である越南の流れをくみ、南部は貿易国家であった占城(チャンパ)の流れをくむので商売は上手だが臆病で兵士としての資質は全く駄目だという話は、知らなかったので興味深かったです。
ベトナム戦争で南ベトナムが負けるはずだと納得しました。作者の柘植氏は元フランス外人部隊の教官だけに説得力があります。彼の経験でも一緒に戦っていた南ベトナム軍の兵士が敵の銃声に驚いて勝手に潰走(敗走じゃなく文字通りの)してしまうため、何度も味方が危機的状況に陥ったそうです。
北ベトナムの兵士は、勇敢だが体格が小さいため白兵戦に持ち込めば怖い相手ではなかった、という記述は実際体験したものでないと書けない内容だと思いました。
ベトナムの歴史は日本ではあまり知られていませんが、本書に触れたことでたいへん興味を覚えました。これは世界史書庫でベトナムシリーズが始まりそうな予感(爆)。
皆さんびもぜひお勧めです。古本屋なら5~600円くらいである(高くても800円くらい)と思いますよ!