鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

夢を買う話

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 一介の伊豆の小豪族の娘から、将軍家御台所となり、頼朝死後は尼将軍となって権勢を振るった北条政子。しかし、彼女がどうして当時流人にすぎなかった頼朝を 夫として選んだのか謎です。
 当時、政子は伊豆の目代(平家受領国の代官)山木兼隆との縁談話がすすんでいたのですから、なおさらです。父である北条時政の反対を押し切って頼朝のところに転がり込んだ政子でしたが彼女なりに信念があったのです。
 
 それは、数年前にさかのぼります。政子の妹(大河ドラマ草燃える』では保子)が不思議な夢をみました。心配になって姉政子に相談します。
「どこかの高い山に登り、太陽と月を左右の袂に入れる夢をみました。橘が三つ成っている枝を髪にさしていたのだけど、姉上これはどんな夢かしら?」
 政子ははっとします。これは紛れもなく天下をとる大吉夢だとわかりました。しかし頭の回転のはやい政子は
「これは吉夢には違いないけれど、三年間人に喋ってはいけない夢なのよ。このままでは貴方は不幸になります。古来から夢を人に売れば禍から免れると言うわ。私が買い取ってあげるから安心しなさい。」
「でもそれでは姉上が不幸になる」と心配する妹に
「私も誰かに売るから大丈夫」と言いくるめて、かねて妹が欲しがっていた鏡と綾織りの小袖を与えて夢を買い取りました。

 吉夢はどうやら売り買いできるみたいなのです。そういえば吉備真備も夢を買い取って出世したという話があります。こうして天下を取る夢の持ち主になった政子は、自分の直感を信じ、天下を取る男の妻に納まったのです。