ドイツ海軍の現在の主力フリゲートであるバーデン・ヴュルテンベルク級は満載排水量7316トンの巨体であるにもかかわらず対空兵装は近接防空のSeaRAM2基しか持たず、VLS(垂直発射装置)も無いというはっきり言って欠陥品でした。NATOの海外任務に役立つようパトロール能力を重視するという中途半端な方針で、ロシアのウクライナ侵略で緊迫する国際情勢とは全く逆行するものでした。
その反省から、ドイツ海軍はニーダーザクセン級(126型)という新たなフリゲートを建造中で、2028年就役予定だそうです。ところがこれも満載排水量10550トンという各国のミサイル駆逐艦に匹敵する大きさながらVLSがわずか16セルという日本でいえば5500トン級のもがみ型程度のVLSしか搭載していません。どうしてこうも軽武装なのか理解に苦しみます。
そこで、計画されているのが本級127型フリゲートです。イージスシステム搭載でニーダーザクセン級と同規模の10000トン級。ドイツというより欧州海軍では珍しく32ノットの高速を誇ります。VLSの数は公表されていませんが、おそらく少なくとも48セル、あるいは64セルくらいは搭載できそうですし、搭載しなかったら嘘です。アーレイバーク級並みの96セルまで搭載しろとは言いませんが。ザクセン級は5690トンで32セルですからね。
ニーダーザクセン級の主任務は対潜、127型はザクセン級以来の防空が主任務だそうです。ようやくドイツも本腰を入れてきたと思うんですが、就役予定が2030年代前半だそうですから第3次世界大戦には間に合わないかもしれません。そう考えるとメルケル政権時代の大軍縮の悪影響は今でも続いているのでしょうね。どなたかがメルケルはロシアの工作員だったと仰っていましたが、今のドイツ軍の惨状を考えると納得できるのが怖いです。
ドイツも日本とは別の意味で平和ボケ期間がメルケル時代に続いていたんですが、その前まではNATOの最前線として強力な軍備を誇っていたんですから、ようやく元に戻りつつあるのでしょう。ただ、遅きに失した感はありますね。英仏の方がよほど軍備に関してはまともでした。
イタリアの方がまだ真剣に軍備を整えていますし、NATO拡大で対ロシア最前線になったポーランドの方がよほど真面目に軍拡しています。ドイツは次期戦闘機でグダグダしていましたが、早くにF-35を採用したポーランドのほうがまともです。イタリアもF-35を持っていますし、ドイツ空軍は2022年にようやくF-35導入を決断しました。ユーロファイタータイフーンが138機あるので防空に穴が開くことは無いと思いますが、ドイツのF-35導入予定は35機。2019年にF-35導入を決めたポーランドではすでにF-35の配備が始まっていますよ。ポーランドが32機導入予定なのに経済規模が大きいドイツが35機はちょっと情けない。イタリアは予算が厳しくて削減されましたが、それでも90機導入予定ですよ。議会が反対しているので元々の131機に戻るかもしれません。日本と違ってまともな野党があるイタリアは羨ましいですね。
まあ、ともかくドイツ海軍も早く正常化してほしいですし空軍ももっと強化しなければロシア、シナといった悪の枢軸に対抗できませんよ。もちろん日本も他人事ではなく早急に強力な軍備を整えてならず者国家の侵略に備えなければなりません。