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たたら製鉄で使う木炭量

 私の悪い癖は、一つの事に興味を持つとその関連も調べたくなることです。興味の無い方が大半だと思いますのでスルーしてください。

 さて、前回の記事でたたら製鉄で使う砂鉄には赤目砂鉄と真砂砂鉄があり、中国地方日本海側など限られた所でしか採れない真砂砂鉄が純度が高く貴重だという話を書きました。出雲鉄は鉄砲生産には不可欠で戦国時代この地方を領有した尼子氏が強大化した理由の一つでした。

 ご存知の通り、鉄の生産には大量のコークス、昔は木炭が必要です。現在高炉を使った製鉄が主流ですが、銑鉄(高炉や電気炉を使い鉄鉱石を還元して取り出した鉄)1トンを作るのにコークスが500㎏も必要だそうです。ちなみに銑鉄は硬いですが割れやすく、これを溶かした溶銑を転炉や平炉を使って炭素の含有量を4%前後から2%以下に下げる処理をしてようやく鋼鉄が出来上がります。

 この作業を手作業でしていたのが浸炭法で、木炭を使い何度も熱しては取り出しハンマーでたたいて表面のみ炭素量を増やし強靭な鋼を作りました。調べてみると、たたら製鉄においても大量の木炭が必要でした。一回で製造できる鉄量は不明ですが、一連の作業でなんと12トンもの木炭が必要だそうです。森林面積に換算すると約1ヘクタール。年間60回製鉄作業をすると1年で60ヘクタールの森林が失われるそうです。しかも木炭に適した木に成長するには30年かかるそうですから気の遠くなる話です。60回×30年で1800ヘクタール!

 日本のように高温多湿な気候でも計画的に植林しなければ木炭用の大量の木材は確保できません。ということは浸炭法を発明したヒッタイトの根拠地アナトリア小アジア)が荒廃したのも分かりますね。支那大陸においても鉄を生産するために木を伐採しすぎて多くの森林が失われたそうです。古代には長安(現西安)のあった関中地方(中国陝西省渭水盆地一帯)は豊かな森林が広がっていたそうです。ところが今は乾燥地帯で周辺には砂漠が広がります。

 朝鮮半島の場合は、鉄生産の結果かもともと荒廃していたかは分かりません。気候的にそもそも森林自体が再生しにくい土地柄なのかもしれません。その意味では日本は恵まれているし、加えて計画的に植林し木材資源を確保した先人に感謝しなければいけませんね。