鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

弾丸の話  【現代編】

イメージ 1
                        7.62㎜NATO弾と単3電池の比較
イメージ 2
                         5.45㎜×39弾(AK74の使用弾丸)
 
 私は別に弾丸に造詣が深いわけでもなく単なる(戦記ファンの)常識程度の知識しかありませんが、以前記事で戦前日本のライフル弾事情について記事にしました。これはその続き。世界ではどうなのか?という話です。
 
 第2次大戦中、世界の小銃弾、軽機関銃弾は7.62㎜~7.92㎜が主流になってきたと紹介しました。日本においても6.5㎜から7.7㎜に変更し、軽機関銃・小銃もそれに合わせて更新しつつあった(完全に更新できたわけではない)ことを書きました。
 
 ただ7.7㎜弾は体格の小さい日本人には衝撃が強すぎて満足に当たらなかったという事も…。
 
 ドイツは大戦中、世界に先駆けて実用アサルトライフルであるStG44を登場させ世界はその優秀性に驚かされAK47など戦後はアサルトライフルの全盛期になりました。
 
 ところでドイツのStG44ですが、使用弾丸は7.92㎜×57モーゼル弾ではなく弱装(火薬の量が少ない)の7.92㎜×33弾でした。またまた某サイトからの引用で恐縮ですが(汗)、モーゼル弾が3900J(ジュール)なのに対し7.92㎜弱装弾は1900Jと半分くらいしかありません。
 
 これは単発ならともかくフルオートで撃とうものなら衝撃が強すぎてとてもじゃないが当たらないからです。
 
 戦後、ソ連がStG44をもとに開発したAK47の使用弾丸も7.62㎜×39弾(1990J)です。一方、西側はM14の使用弾丸である7.62㎜×51弾をNATO弾として採用しました。これは威力が3350Jもあります。
 
 マッチョなアメリカ人なら楽に扱えそうですが日本人のように平均体格の小さい兵士にはとても無理です。日本初の実用アサルトライフルである64式小銃などは苦労したのではないかと想像します。自衛隊では衝撃を少しでも減らすために10%装薬量を減らした減装弾を使用していたそうですがそのために連射速度は減少したものの命中率は向上し結果オーライだったみたいです(苦笑)。
 
 そんな中、アメリカでは命中率の向上と兵士1人当たりの携行弾数を増やすため5.56㎜×45弾(2090J)を使用したM16を開発します。流石のアメリカでも連射時に反動のきつい7.62㎜は兵士たちの間に文句が出ていたようです(苦笑)。
 
 M16で5.56㎜を採用すると、西側諸国でもこれをNATO弾として次々と採用します。西側陣営のビッグボスであるアメリカの意向に逆らえなかったということもあるでしょうが、有事に最大の工業力を有するアメリカと共通弾丸を使用し補給面での不安をなくそうという当然の危機管理もありました。日本でも5.56㎜NATO弾使用の89式小銃を開発します。
 
 ソ連でも名銃AK47の後継として5.45㎜×39弾を使用するAK74を採用します。ところがこっちは1300J、威力からいったらAK47の7.62㎜で良かったような気がします(笑)。
 
 小口径弾は初速があがり射程距離が延び貫徹力もあがる一方、肝心の殺傷力は落ちます。AKシリーズの設計者ミハイル・カラシニコフも弾丸の小口径化には反対だったそうです。
 
 そのための対策として小口径弾は弾頭内部に空洞を設けました。ソフトターゲット(ぶっちゃけていえば人間ですな)に当たると体内で横転し体内組織を傷つけながら抜けるため、射入口より射出口の方が大きくなります。これで小口径弾の不利を少しでも緩和しようというのです。
 
 酷いと思うなかれ!戦争は綺麗ごとじゃないんです。もともと小銃の口径が大きくなったのも威力を上げて殺傷能力を大きくするため。ドイツやフランスが小銃の口径を増やしたのも、当たって死にはしないまでも廃兵(手足が不自由で兵士として役に立たない)にするためですし…。(ダムダム弾のようなホローポイント弾がハーグ条約で禁止されていてこれが許されてるのもおかしいような気はしますが…)
 
 戦争絶対反対の平和主義者にはいささか辛い記事でしたが、現実はこんなものだという事で書かせていただきました。